国会崩壊が始まったのだろうか。一部の気骨ある議員を除くと与野党ともにひどい。
朝から国会を取材していた田中は体が溶けていくような徒労感に襲われた。
ヒンシュクものの答弁を続けてきた森法務相が、特大のトンデモ発言を放った。きょう午前の衆院法務委員会だ。
事の発端は9日の参院予算委での森大臣の答弁だった―
「東日本大震災の際、国民が、市民が避難していない中で最初に(福島地検いわき支部の)検察官が逃げた。その時、身柄拘束している10数人(被疑者)を理由なく釈放して逃げた」というのだ。
きょう午前の衆院法務委で、検察官出身の山尾志桜里議員が事実関係を質すと、森大臣は事実だとする趣旨の答弁をした。
ライフラインの確保が難しいため被疑者を処分保留のまま釈放したのは事実だが、検察官が真っ先に逃げ出したというのは正確ではないようだ。
森大臣は「当時の報道をもとに・・・」と説明したが、当時の報道にも森大臣が答弁したような記録はない。このため法務委は紛糾した。
森法相に勝るとも劣らぬほど深刻なのが立国社だ。
現行の新型インフルエンザ特措法は、移動の自由や財産権を制限し、テレビ報道の統制を可能にする。安倍自民はそれを現下の新型コロナ感染にも使えるよう改正しようというのだ。
永田町の古老は「キ●ガイに刃物を持たせるようなもの」と喝破する。
安倍首相に刃物を持たせてしまったのは立憲と国民執行部だった。政府案に反対する議員の意見を聞く前に、自民と諮って法案可決の日程まで決めてしまったのだから。
山尾志桜里議員らが強く求めていた国会への「事前承認」は取れずじまいだった。取れたのは国会への「報告」だ。それも法的拘束力のない付帯決議である。
報告なんて「非常事態宣言をするよ」と告げてしまえば、それまでだ。屁のツッパリにもなりはしない。
国民の人権を制限する非常事態宣言に対して国会は無力になったのである。
山尾議員は「許せない」と唇を噛む。
ある若手議員は「国会の中に入って分かったけど、これは独裁国家だ。安倍さんが決めたら官僚がそれに従う。野党は無力だし…」と嘆いた。
民意を反映する国会が機能しなくなった独裁国家で、野垂れ死んで行くのは国民だ。
~終わり~
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安倍政権はコロナ感染を奇貨として、国民の基本的人権や自由を制限してくる可能性があります。
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