「皆さんの生活が苦しいのは皆さんの責任やない。税金が正しく使われていないからやないですか」…
京都市長選挙最終日のマイク納めで福山和人候補(弁護士=共産、れいわ推薦)は、聴衆に語りかけた。
生活保護訴訟などを通じて貧困の実態をよく知る福山ならではの訴えだった。「1%と99%の戦いですね?」と田中が問うと福山は大きく頷いた。
庶民は背骨が折れるほど重い税金を払わされているのに、その税金は金持ちをさらに豊かにするために使われている、というのだ。庶民は貧乏になる一方だ。典型のひとつに観光開発がある。
京都市政は外国人宿泊者数300万人(年間)を目指す。当然のごとくホテル誘致に勤しむ。
東・西本願寺の門前町として栄えた下京区はホテルやゲストハウスの建設ラッシュに沸く。
町家と細い路地が続いていた家並みは、コンクリートの箱で寸断された。古都の下町は無残な姿をさらしていた。
「ここら辺はかつて石を投げれば呉服屋や仏具屋に当たった。今は石を投げればホテルに当たる」。界隈で生まれ育った大学の非常勤講師はこう語り、肩をすくめた。
ホテル建設の需要で地価が上がる → 固定資産税が上がる → 相続税が払えない → 家(土地)を売って出ていく → 土地はホテルやゲストハウスとなる → 地価が上がる・・・悪循環だ。
マンションの家賃も上がったため庶民は住めなくなってしまった。相次ぐ小学校の統廃合が事態を象徴している。前出の非常勤講師は住み慣れた下京から郊外に脱出した一人だ。
統合後の小学校に設けられた投票所に一票を投じに来た有権者に話を聞いた。
年金生活者の女性(70代)は、今なお取り壊されずに済んでいる長屋に暮らす。「ホテルはここまで必要なのか?(行政は)何を目指してはんのやろ?」「(それより)福祉が良くなってほしい」。表情は穏やかだったが、一気にぶちまけた。
自公に立憲が乗る相乗りについて聞くと「政党が違うのにくっ付いてんのはおかしい」と首を傾げた。
自営業の男性(60代)はさらに辛辣だ。「固定資産税が上がった。払っても払っても税金の払いに追われる。そこに消費税。すごく住みにくい」。こう憤った男性は現職の多選について「これ以上やるのは良くない」と首を横に振った。
30代の男性(自営業)は「町を壊したのは現職だ。市長と議会は利権のアヤトリをしているだけ」と吐き捨てるように言った。
ホテル開発やゲストハウス建設で地元の業者にカネが落ちるのならまだしも、そうではない。ホテルは東京の業者が運営し、工事業者は竹中工務店だったりする。ゲストハウスの所有者は中国人だったりする。
京都の街中にはもう住めない。最近は地下鉄が伸び交通の便が良くなった滋賀県に移り住む人が少なくない。
自公と立憲は人々の暮らしよりも東京や海外の資本が潤う政治を優先している。京都は特殊ではない。
京都と同じ政令指定都市の横浜でも、立憲は自公候補の林文子を応援した。相乗りだ。三期目の林は中学校給食の代わりに配達弁当を推し進め、カジノ誘致をゴリ押しする。市民にとっていい事は何もない。
野党第一党が与党の補完勢力となって、庶民を苦しめる永田町の政治と同じである。(敬称略)
~終わり~
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地方では当たり前のようにある自公と立憲の相乗り。今回の京都市長選挙で、それがこの国の政治の病巣であることを見届けました。
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