交差点の向こうから、ドラム隊を先頭に色とりどりの旗をかざして、梯団がみるみる迫ってきた。
「アベは辞めろ」。シュプレヒコールをあげながら、6つの梯団が小一時間をかけて田中の目の前を過ぎていった。久々に見る大規模デモだった。
きょう12日、東京はじめ全国7ヶ所で「安倍政権を終わらせるためのデモ」があった。(呼びかけ:Team Ocupy など)
2012年末に安倍政権が誕生してからというもの、この国は間断なく破壊されていった。
憲法は言うに及ばず、労働法制、教育、公務員のモラル・・・破壊はありとあらゆる分野に及んだ。
これ以上、安倍政権が続いてはたまったものではない。デモからはそんな怒りと叫びが聞こえてきた。
茨城から足を運んだ男性(会社員・50代)は「長年積もり積もった怒りを表しにきた」。
男性は香港のデモと比較しながら「日本人は大人し過ぎる。なぜもっと怒らないのか?」と力を込めた。
さいたま市の主婦(年齢不詳)は開口一番「いい加減にせい」。
彼女は「台湾と香港には勇気をもらう」とも語った。生活が破壊されても怒らない日本人はやはり羊のように大人しいということだろうか。
作家の室井佑月さんは術後の体をおしてデモに参加した。「きょうは絶対来ようと思っていた」と意気込みを語った。
その上で「野党は本気で怒ってほしい」と不満を露わにした。
かくも長きにわたって安倍政権を存続させた野党の責任は重い、と室井さんは言いたいのだろう。
香港のデモでは民主派の議員が逮捕も恐れず参加し、デモ隊を守る。今日のデモで野党第一党の立憲民主党からの参加者は、田中が視認する限り石川大我議員ただ一人だった。
~終わり~