海自艦2月中旬、中東海域に到着 戦闘に巻き込まれる恐れも

政府を追及する野党議員。=9日、衆院16控室 撮影:田中龍作=

 米国とイラン。双方の自制により、全面戦争はひとまず回避された。だが、中東が世界の火薬庫であることに変わりはない。

 安倍首相があさって11日から予定している中東歴訪の中止を検討するなか、政府は海上自衛隊を予定どおり中東に派遣する方針だ。

 いつものこととは言え、不可解である。野党がきょう、防衛省、外務省、内閣府から事情を聴いた。

 防衛省の説明によれば、派遣されるのは護衛艦「たかなみ」(6,300トン)とP3C対潜哨戒機3機。「たかなみ」は今月27日頃、横須賀基地を出港し、それから3週間後(2月中旬)に中東海域に到着する見込みだ。

 バグダッドの米軍施設に撃ち込まれたイランの短距離弾道ミサイルは「シャハブ2」と「キアム」と見られる。

 イランは正規軍35万人を擁するが装備が老朽化しているため、正規戦では不利となる。このためミサイル攻撃やゲリラ戦などの非対称戦争で戦う。これを担うのが革命防衛隊だ。

 米軍はベトナム戦争以来、非対称戦争に苛まれてきた。現在もアフガニスタンで苦戦する。

安倍応援団は「日米同盟強化」を呼びかけるが。=9日、首相官邸前 撮影:田中龍作=

 日本は米国の主導する有志連合に参加しなかったとはいえ、海自のP3Cが収集したデータは米軍と共用される。

 バーレーンにある米海軍第5艦隊司令部には、幹部自衛官が情報将校として派遣される。

 誰がどう見ても米軍と自衛隊は一体運用である。紛争の絶えない中東で揉まれてきたイランが、これを見逃すとは考えられない。

 野党議員が「アメリカとイランとの間で戦闘が起きる可能性はないのか?」と問うと、内閣府は「お答えは差し控えます」とかわした。

 「たかなみ」は単独航行である。艦隊を組んでいないため、攻撃されればひとたまりもない。

 革命防衛隊はソマリア沖の海賊とはレベルが違うのだ。

 米軍とイランが戦闘状態に入れば、米軍の同盟軍とみなされている自衛隊が、イランの攻撃に遭っても何ら不思議はない。

 政府官僚の立場では「お答えは差し控えます」という他ないのだ。

 元陸上自衛隊レンジャー隊員の井筒高雄氏は次のようにコメントした―

 「自衛隊を派遣するということは戦争当事国になるという認識が(政府には)極めてない。相変わらず『自衛隊が行くところは安全』『狙われないんだ』みたいな性善説に立って、今の状況を強行突破することは好ましくない」。

  ~終わり~

    ◇
『田中龍作ジャーナル』はマスコミが報道しないファクトを伝えます。

皆様の御支援で続けさせて下さい…

田中龍作の取材活動支援基金

■郵便局から振込みの場合

口座:ゆうちょ銀行
記号/10180 番号/62056751

■郵便振替口座

口座記号番号/00170‐0‐306911

■銀行から振込みの場合

口座:ゆうちょ銀行
店名/ゼロイチハチ・0一八(「ゆうちょ銀行」→「支店名」を読み出して『セ』を打って下さい)
店番/018 預金種目/普通預金 口座番号/6205675 口座名/『田中龍作の取材活動支援基金』

■ご足労をおかけしない為に

ゆうちょ銀行間で口座引き落としができます。一度窓口でお手続きして頂ければ、ATMに並んで頂く手間が省けます。印鑑と通帳をお持ち下さい。
記号/10180 番号/62056751 口座名/タナカリュウサクノシュザイカツドウシエンキキン

連絡先
tanakaryusaku@gmail.com
twitter.com/tanakaryusaku

政治