年の瀬の31日に続き、きょう4日、東京では2回目の大人食堂が開かれた。
1回目同様、生活困窮者がリュックを背負ってオープンを待った。
69歳の男性はひと月8万円弱の年金を得ているが、それだけでは生活して行けない。(長年会社勤めをしていたため、多い方である。しかし東京では生きてゆけない。)
男性は48歳の時、定職を失い、その後清掃やガードマンなどの仕事で生活をつないでいたが、膝を痛めて無職状態となり、去年6月路上に放り出された。
月8万円の年金だけでは家賃を払って食べていくことはできないのだ。
かといって生活保護はおいそれと出ない。
男性は新宿西口や池袋で野宿生活を続ける。男性が暮らす地域では、年の瀬までは炊き出しがあったが、正月三が日はほとんどなかった。
一日に歌舞伎町の旧コマ劇場前で古くからの友人にバッタリと会い、千円をカンパしてもらった。その千円でパンを買い3日間を食いつないだ。オニギリだと腐ったりする恐れがあるからという。
きょうの大人食堂。昼食のメニューはカレーと雑煮だった。
「久々にまともな物を食べたよ」。男性はホッと一息ついた。
国民年金の場合、25年間せっせと掛けて、返ってくる額は月約6万円。しかも支給開始年齢は、後ろに延ばされ、支給額は減らされる一方だ。安倍政権が虎の子の年金資金を株につぎ込んでいるため、当然そうなる。
「掛けさせるだけ掛けさせておいて」。男性は唸るように言った。
国家ぐるみの年金詐欺である。少子高齢化が高速で進む現状が変わらない限り、上級国民以外の高齢者は炊き出しや大人食堂のお世話になる。
~終わり~
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年末年始、目に見えづらい世相を取材して歩きました。今年も『田中龍作ジャーナル』をお支え下さい。↓