「自衛隊イラク日報」 戦場データ欲しさに隠す

沖縄反戦運動のシンボルといわれる照屋寛徳議員(社民)。「防衛省は巧妙に国会を欺いた」と指摘した。=3日、野党合同ヒアリング 衆院第16控室 撮影:筆者=

沖縄反戦運動のシンボルといわれる照屋寛徳議員(社民)。「防衛省は巧妙に国会を欺いた」と指摘した。=3日、野党合同ヒアリング 衆院第16控室 撮影:筆者=

 「ない」と言い張っていた文書が出てきた。今度は防衛省だ。それも公開されれば、自衛隊のイラク派遣が違法であることがバレバレとなる活動日報である。

 防衛省統合幕僚監部によれば、現存が確認されたのは、自衛隊のイラク派遣中(2004年~2006年)に作成された376日分の活動日報。約1万4,000ページにも及ぶ。

 国会で追及された稲田朋美・防衛相が「残っていないことを確認した」と答弁していたが、やはりウソだったのである。2日、小野寺防衛相が日報の存在を発表し陳謝した。

 日報のデータが見つかったのが「教育訓練研究本部」というのがミソである。

 迫撃砲やロケット砲が撃ち込まれる中での活動は、演習などでは到底経験できない。自衛隊という軍事組織にとって貴重な教訓となる。戦場でなければ得られないデータを膨大に収集したのである。

 とは言え、自衛隊の活動地域が戦場であったことは伏せておかねばならない。PKO参加5原則に違反するからだ。その結果、隠ぺいが行われた。

 日報は「ない」ということになっていたのは、このためだ。

 発表によれば日報の電子データが見つかったのは今年1月12日だった。“ 今、明らかになれば予算審議に影響を及ぼす。しばらく伏せておけ” 天の声があったのか。「戦場日報」は発表されるまでほぼ3ヵ月もかかったことになる。

 この間、自衛隊と防衛省は国会を欺き続けていたのである。軍事組織に対するシビリアンコントロールが利かなくなれば、戦前と同じ道をたどることになる。

観閲式に臨む稲田朋美防衛相(当時:壇上前列・右から3番目)。自衛隊からはホトホト愛想を尽かされていた。=2016年、朝霞駐屯地 撮影:筆者=

観閲式に臨む稲田朋美防衛相(当時:壇上前列・右から3番目)。自衛隊からはホトホト愛想を尽かされていた。=2016年、朝霞駐屯地 撮影:筆者=

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