「テロは口実」 映画『スノーデン』と酷似する日本

エドワード・スノーデン。国家権力は世紀の内部告発者をハッカーと呼ぶ。

エドワード・スノーデン。国家権力は世紀の内部告発者をハッカーと呼ぶ。

 ベトナム戦争など国家による犯罪を告発し続けるオリバー・ストーン監督が、日本に向けて警告を発した。

 NSA(米国家安全保障局)から最高機密を持ち出した元CIA職員のスノーデンが、英紙『ガーディアン』の記者に語る。

 「テロは口実で(監視は)政府の覇権のためだった」と。

 このセリフを聞いた時にピンと来たのが、日本の「盗聴法(通信傍受法)」と「共謀罪」だ。

 盗聴法は昨年改悪され、法廷に提出できる犯罪は4種類から13種類に増えた。窃盗、詐欺、殺人、傷害、爆発物所持など9種類が加わったのである。

 そして、今国会で安倍政権が成立を目指すのが共謀罪だ。仲間と「●●しようぜ」と話し合っただけで罪に問われる、という恐ろしい法律だ。

 すでに盗聴法があるので、携帯電話で話しただけで逮捕、起訴できる。国家権力にとって不都合な人間を片っ端からお縄にできるのだ。

 共謀罪の正式名称は「テロ等組織犯罪準備罪」。東京オリンピックをテロから防ぐというのが大義名分である。

 盗聴技術の進歩により監視対象が際限なく広がることもスノーデンは教えてくれる。

 「最初の標的から3人目になると(監視した相手は)250万人にもなる」と記者に証言する。

 メーリングリストやSNSで友達の友達のまた友達の・・・とたどって行けばあっという間に膨大な数となるからだ。

沖縄の米軍基地を取材に訪れたオリバー・ストーン監督。辺野古も視察した。=2013年8月、普天間基地・野嵩ゲート前 撮影:取材班=

沖縄の米軍基地を取材に訪れたオリバー・ストーン監督。辺野古も視察した。=2013年8月、普天間基地・野嵩ゲート前 撮影:取材班=

 ある日スノーデンは衝撃を受ける。自らが構築に携わった「エピックシェルター」というテロ監視システムが、無辜の民の殺傷に使われていたのだ。

 テロリストとみなす標的をドローンが爆撃して殺す。母と子たちだ。

 NSAの職員は「無人機のアンテナが追跡して悪党の携帯電話を爆撃する」と説明する。

 「悪党であることを確認したのか?」と目を吊り上げるスノーデンにCIA職員は「陸上部隊が確認する」と涼しい顔で答えた。

 横田基地に勤務していたスノーデンはあるマルウェアを日本のコンピューターシステムに植え込んだ。日本が同盟国でなくなった場合、発送電、交通インフラ、金融システムなどがマヒするのである。生殺与奪を米国の情報機関が握っている。

 NSAが大規模かつ無制限に国内外の人々や組織を監視していたことが、スノーデンにより暴露されても、米政府は「監視には制限があり乱用はない」とシラをきった。

 「共謀罪」の危険性を野党議員に追及されると日本政府も「一般の人が対象になることはない」とうそぶく。

 ロシアに逃れたスノーデンはインターネット回線を使ったテレビ番組に出演し「公正な裁判であればいいが、私にはスパイ活動防止法が適用されるだろう」と語った。

 スパイ活動防止法は日本の特定秘密保護法にあたる。最後まで日本への警告のように思えてならなかった。

 オリバー・ストーン監督はTBSのインタビューにこう答えている。

 「安倍首相は平和憲法をなくそうとしたり、共謀罪を通そうとしたりする。安倍首相は間違った方向へ(日本を)導こうとしている・・・日本はアメリカの衛星国ではなく人質だ」。

     ~終わり~

      ◇
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