TPP加盟前夜 すでにここまで来ている医療崩壊

今だからこそ普通の人でも病院で診療を受けることができるが、TPP加盟後はいずれ難しくなるだろう。写真と本文とは関係ありません。=写真:筆者撮影=

今だからこそ普通の人でも病院で診療を受けることができるが、TPP加盟後はいずれ難しくなるだろう。写真と本文とは関係ありません。=写真:筆者撮影=

 「久しぶりだね。どうしてたの?」と聞くと患者は口ごもった。話しているうちに、お金が払えないから病院への足が遠のいていた、ということが分かった。

 「血液検査をしましょうか?」と言うと「いや、今回はいいです」と拒否されることもザラになった。患者が医療費を自己抑制するようになったのだ ― こう語るのは知人の町医者だ。
 
 TPPに加盟すれば、庶民にとって医療はさらに高嶺(高値)の花となる。

 最も懸念されるのが薬価の高騰だ。知的財産権の保護期間が長くなることにより、ジェネリック薬品の生産が遅れるようになる。

 ジェネリックが使えないとなれば、医者は値段が倍のオリジナル薬品を処方しなければならない。患者にとってその分出費はかさむ。

 その結果、病院への足は遠のく。「今回、薬は一週間分でいいです」・・・患者はすでに自己抑制しているが、さらに自己抑制するようになるだろう。

 前出の町医者によれば病院には厚労省から通達が来る。「生活保護受給者にはジェネリックを使うように」と。

強欲資本主義に抗議するオキュパイ運動で設営された医療チームのテント。何年も病院に行ったことのない人々のために看護師が診療にあたった。=2011年、NYウォール街。撮影:筆者=

強欲資本主義に抗議するオキュパイ運動で設営された医療チームのテント。何年も病院に行ったことのない人々のために看護師が診療にあたった。=2011年、NYウォール街。撮影:筆者=

 ところがジェネリックがなければ、医者はオリジナル薬品を処方するしかない。薬価が倍になる分は行政の負担となる。

 政府は「国保財政を圧迫させてはならない」を錦の御旗として掲げるだろう。

 ここでマスコミの出番だ。「生活保護バッシング」「貧困バッシング」である。

 「生保受給者は病院に行く回数を減らせ」などと誰かが喧伝する場面が目に浮かぶようだ。

 別の見方もある。アメリカは自国の高い薬品を保険適用させ、日本の国保財政からカネを吸い上げるだけ吸い上げる・・・という見方だ。

 これが実現すると、国保財政は早晩破たんする。そうなれば、全国津々浦々にある郵便局のネットワークを支配下に置いたアフラックが大儲けだ。

 かりに国保が残存していても、上述したように庶民は簡単に病院にかかれなくなる。国保がパンクして民間の保険だけになれば、アメリカのようになる。

 救急車搬送10万円、盲腸手術100万円、ICU(集中治療室)入院一日100万円・・・こうなるともう誰も医療の恩恵を受けられなくなる。庶民は病気になったら死ね、ということだろうか。

 ~終わり~

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