「お母さん、半額だよ~」。威勢のいい売り子の声が飛ぶ。連休最終日のきょう、半値市で賑わう築地に出かけた。消費税導入から一か月、上等の食材が安く手に入る築地(通称:場外市場)の路地は押し合いへし合いの賑わいとなった。
鮮魚店でサーモン4切れ千円を購入した女性(50代)は、「半値市をやっているのは知っていて来た。半値だったら買うかなと思って。(消費税の影響で)値段上がってるかなと思う」と話す。
60代の女性は乾物屋で通常1キロ260円の味噌を130円で購入した。「(消費税の影響)受けている。半値市と言うので来た。お魚目当てで来たが、野菜も思ったより新鮮で気分がいい。屋台も楽しみ」。お得な買い物と食べ歩きを満喫したようだ。
ある佃煮屋では一個200円の昆布の佃煮が2個で300円になっていた。お買い得感に誘われて筆者は財布のヒモを緩めた。
レジカウンターの上には「4月1日以降も値上げしません」の文字。店の男性は「消費税が上がったといって影響はない。その代わり、包装を簡易にした」とレジ袋を掲げて見せた。
店が税金として納めなければならない分を値上げすれば売上は落ちる。それを避けるためにコストカットしたのだ。客をつなぎ止めるための涙ぐましい努力である。
消費税増税の影響もあり株価は下降しているのにマスコミはそれをろくすっぽ伝えない。ゴールデンウィーク中のTVニュースは「安倍首相の欧州外遊」「行楽地の人出」「海外旅行の出入国ラッシュ」で持ち切りだった。
家族そろって帰省すれば、交通費や親せきの子供への小遣いなどで簡単に10万円は飛ぶ。ニュース画面に登場する人々は、きょう明日の食費にさえ事欠いているとは考えにくい。
路地裏を写真撮影とインタビューで隈なく歩いた筆者は空腹に気付いた。築地と言えば寿司だ。だが寿司店は高嶺の花。といって築地で回転ずし店に入るのはシャクに障(さわ)る。
手頃な値段の海鮮丼もあった。値札を見ながら歩き回ったあげく、落ち着いたのはラーメン屋だった。
ヨーロッパ外遊中の安倍首相はパリでフランス料理に舌鼓を打ったようだが。