「ロシアへの編入」などを問う住民投票(16日実施)が近づくクリミア半島は、日増しに緊張が高まる。ロシア軍とロシア系住民が警戒しているのは、キエフ方面から武器や工作部隊がクリミア半島に入ってくることだ。
幹線道路はロシア軍が、鉄道はロシア系住民による自警団が検問する。これまでに爆薬80Kgとライフル銃数十丁が押収された。
武器に頼らずに住民投票を妨害する方法もある。反対派による「パスポート破り」が相次ぐ。手口と狙いはこうだ― 軍になりすまして民家を訪ねパスポートの提示を求める→家人が出したパスポートを破ったり、ペンキを塗ったりする→パスポートを使用できないようにする→住民投票ができなくなる。
クリミア自治州の住民のうち6割のロシア系住民はロシアへの編入に賛成するものと見られている。犯行グループは事前に賛成派住民の家を調べて押し入っている。用意周到だ。
警察に逮捕されたグループもいる。警察は残りのグループもいるものと見て住民に警戒を呼び掛けている。クリミア州政府はパスポートを破られた住民に対して身分を証明できる書類を発行し、住民投票に参加できる措置を講じた。
11日、クリミア州議会は住民投票後「独立」を宣言しロシアに編入する文書を採択した。独立もロシアへの編入も共に認められないとするウクライナ新政権とロシアとの緊張はさらに高まることが予想される。