「再生可能エネルギーの実用性を確認したかったんです。でも一番の理由は、汚い企業の東電からしか電気を買えない状況の中、東電への不買運動として、自分で出来ることは何か考え、ベランダで出来るソーラー発電を始めました」。
横浜の閑静な新興住宅地。りんこさん(ハンドルネーム、会社員、男性)は、今年の夏からマンションのベランダでオフグリッドソーラー発電(※1)を始めた。外から見ると4枚の黒いパネルが、強い日差しを吸収し鈍くも誇らしげに輝いていた。
部屋に入るとすぐに、「これはソーラー電気、これもソーラー電気、あっ、これは東電の電気」と電化製品を次々と披露してくれた。ベランダソーラー発電によって賄われているのは、PCのネット機材(無線ルーターやハブなど)、居間と寝室の照明、扇風機、FAX、携帯電話の充電、タブレットPC、充電式乾電池など消費電力の小さいものだ。
「実は、去年の9月くらいからベランダソーラー発電を考えていたが、採算が取れそうもなかったので、妻を説得するのは無理かなと思ってました。でも、今年の6月にオークションで1枚のパネルを8千円で落札できたのをきっかけに、決心しました」。
その後、立て続けにソーラーパネル2枚を落札。そしてコントローラー、バッテリーなどの主要機器を楽天ショップなどで購入した。現在は、ソーラーパネル4枚、バッテリー3台で、およそ400ワットを発電している。
夕方までにはバッテリーがいっぱいになり、夜通し電気は使えるそうだ。バッテリーが空になったことは1回もない。マスコミや評論家が「不安定」と喧伝するソーラー発電だが、曇りの日でも十分発電している。
オフグリッドソーラー発電には何が必要なのか。実は、先に上げた3つとインバーターさえあればいいのだ。それぞれの最安値と機能を簡単に説明する。(価格は競争激化で大きく変動している)
・ソーラーパネル(50W 約8千円~):メーカーによって差はあるが、およそ20年は発電保証されている。
・充電コントローラー(10A 約2千円~):ソーラーパネルとバッテリーの間に設置し、バッテリーが過充電にならないように監視する。
・バッテリー(100Ah 約1万円~):蓄電器。4つの中では唯一メンテナンスが必要。2~3年ほどで交換が必要。
・インバーター(100~300W 約3千円~)バッテリーと電化製品の間に設置。ソーラー発電した直流電気を電化製品で使えるよう交流電気に変換する機材。
仮に、パネル1枚の発電であれば、3万円程で太陽光発電をする事が可能なのだ。なんだか、再生可能エネルギーがぐっと身近に感じられる。素人でもできるのだろうか。(つづく)
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※1)オフグリッド太陽光発電:電力会社に売買電するのではなく、電力会社の送電網から独立した小電力向けの「オフグリッド(独立型)システム」のこと。古くから、ソーラー街灯などの電源に利用されてきた。
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