“いつまで日米関係の犠牲になるんだ” 沖縄の怒りが渦巻いた。米海兵隊の垂直離着陸輸送機オスプレイの配備に反対する沖縄県民大会がきょう、米軍普天間基地の地元、宜野湾市で開かれた(主催:同実行委員会)。
住宅密集地のど真ん中にあり世界一危険な空港と言われる普天間基地に、米軍は来月中にもオスプレイを配備する方針だ。
折も折。墜落事故をはじめトラブルを繰り返すオスプレイは7日(日本時間)、米国ノースカロライナ州の市街地にエンジントラブルで緊急着陸した。「事故にあたらない」とする日米両政府の見解は、沖縄の人々の神経を逆なでした。
沖縄県の仲井真弘多知事が欠席する異常な雰囲気のなか、県民大会会場の宜野湾海浜公園には10万1千人(主催者発表)が集まった。反米軍基地集会では過去最大の参加者数である。
赤い帽子、赤のTシャツ…会場はシンボルカラーの赤で埋め尽くされた。日本政府にレッドカード、という意味だ。
仲井真知事のメッセージが代読されると一斉にブーイングが起きた。「仲井真出て行け、(知事を)辞めろ…」。
南国の強烈な日差しが照りつけるなか、オジイもオバアもネエネエも「オスプレイにNO」を突きつけに来た。地元議員は超党派だ。県民大会は為政者に対して民が抜く伝家の宝刀でもある。
沖縄市(旧コザ市)から参加したオバア(70代)は開口一番「情けない」。「沖縄の人々が苦しんでいるのに(オスプレイを)強制的に押し付けようとしている。(配備されないよう)政府に頑張ってもらわないと。政治家はもうちょっとしっかりしてほしい」。
米国での緊急着陸について聞くと「あんな不整備な物を沖縄に持って来るのか?軍事基地を減らすのが政治家の仕事じゃないですか」。オバアは切々と語った。
離島の粟国村から前日に宜野湾入りした村議会議員も「沖縄に基地があるのはおかしい。(現状を)変えてもらえるようにしっかりしてほしい」と政治に注文をつけた。
緊急着陸については「沖縄でもああいうことが起きる。伊江島や粟国村でもオスプレイの訓練があると聞く。何としても止めなくては」と口元を引き締めた。
父親に肩車された子供(3歳)は普天間基地そばの保育園に通う。「米軍機が自宅の真上を通る。もし配備されたらオスプレイは子供の目に見える所を飛行する。墜落事故が(沖縄で)起きたら基地をなくせ、ということになるだろう」。父親は語気を強めた。
「米国の言いなりになり下がった森本防衛大臣を糾弾しようではありませんか。オスプレイ配備を日本全体の問題として怒りの炎を燎原の火のごとく広げようではありませんか」。県民大会実行委員会の仲村信正・共同代表が挨拶すると、会場から指笛が激しく鳴り、大きな歓声があがった。
戦後、本土は原発を、沖縄は基地を米国から押し付けられた。福島の原発事故に続く欠陥機オスプレイの配備である。日米関係を本気で考え直す時期に来ているようだ。
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