茨城県議選-政権与党の公認候補が「あわや供託金没収」

 テレビ各局は朝から「茨城県議選で民主党惨敗」と賑やかだ。だが実情は惨敗などという生やさしいものではない。選挙の体をさえなしていなかった。
 逆風のなか推薦も含めて24人もの候補(現有6議席)を立てたため、新顔の多くは当選ラインから大きく外れる結果となった。なかでも目を覆いたくなるのが土浦選挙区だ。破れた新顔の得票が供託金没収ラインに近いのである。あと千票余り不足していたら法務局に預けた80万円は没収の憂き目にあっていた。

 無所属で出馬した候補が法定得票数に達せず供託金を没収されるケースはざらにある。ところが政権与党の公認候補が「あわや供託金没収」というケースは珍しい。
 この候補の公認決定過程が、内紛に明け暮れる現在の民主党を象徴していた。茨城県政に詳しい関係者は次のように解説する。地元選出の国会議員が土浦選挙区の現職県議会議員と険悪な関係にあり、「あてつけ」の意味も込めて新顔の擁立を図った。土浦医師会も独自の公認候補を立てたいため新顔を探した。
 その結果、土浦一高卒業で東京都内在住のO氏(41歳)が公認候補となった。民主党への猛烈な逆風下、2人の候補を立てるのは無謀である。現職を支持する「連合」や「郵便局長会」は反発を強めた。
 事態を見透かした医師会の一部は自民党候補の支持に回った。「勝ち馬に乗れ=負け馬からは早く降りろ」の鉄則である。
 昨年の総選挙で「茨城県医師会」はいち早く民主党支持を打ち出し、政権交代への流れを作った。その医師会が擁立した候補が「泡沫」に近い得票しか得られなかったことは皮肉という他ない。
 茨城県議選の結果は今後の政局いかんによっては民主党崩壊の序曲とさえなりそうだ。

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