小選挙区制で2大政党が政権をかけて競いあえば、議席はこれら2大政党が独占しがちになる。風が吹き投票率が上がると2大政党以外の党は埋没の憂き目に遭う(ただし世界最強の集票マシーンを持つ公明党は例外である)。
30日投票の総選挙に向けて各党が追い込み態勢に入った11日、2大政党ではないA党とB党の街宣活動、Cグループ代表の記者会見をのぞいた。
新宿西口に陣取ったA党。立候補予定者や党幹部が演説を始める20分も前から数十人が集まった。皆、街宣車の方を向いて突っ立っているので一目で動員と分かる。
ある男性に聞くと案の定「呼ばれたので来た」と答えた。「ここにいるのは同業者ですよ」とまで話してくれた。演説が始まってもわざわざ立ち止まって耳を傾ける有権者は、ほとんどいない。
B党は池袋東口で有権者に訴えた。こちらも演説が始まる20分以上前から百人近い人が集まった。新宿西口と同様、皆街宣車の方を向いている。動員意外の何ものでもないことが分かる。「奥さんは10区(豊島区・練馬区)の人ですか?」と筆者が尋ねると「私は足立区(から来た)」。演説が始まっても家路を急ぐ人々は見向きもしない。
Cグループ代表は都内で記者会見を開いた。前職と現職の国会議員が5人に満たないので「党」を名乗れないのだ。出席したのは、学校の同窓生やグループ関係者が20人ほど。記者も数えるほどだ。ノーマークに近いことが分かる。
天下分け目の総選挙まで、あと20日を切った。どのメディアも連日、選挙情勢を伝えて世は選挙一色の感さえある。にもかかわらず、A党、B党、Cグループへの世間の関心は低い。
前回(2005年)の総選挙では「郵政民営化」の5文字が踊り、今回は「政権交代」の4文字が耳目に突き刺さる。シングルイシューで二者択一を迫る選挙は、有権者を惑わすものだ。「郵政民営化」に踊らされた結果、その後の4年間、庶民の生活をないがしろにした政治が続けられた。
独断と偏見を恐れずに言えば、特定の政党に勝たせ過ぎるのは国民にとって悲劇である。自・民の動向に偏りがちのマスコミにも問題がある。
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