アベ政権が「消費税増税延期」を打ち出した場合、野党は「消費税の減税」を掲げなければ、参院選(衆参同時も)に大敗を喫するだろう。
にもかかわらず野党各党が「減税」の旗を掲げる気配は、今のところない。野党は手をこまねいたまま憤死するのだろうか。
「消費税廃止」を唱えてきた共産党までもが、選挙政策では「10%への増税を中止する」とトーンダウンしている。変だ。
共産党本部関係者は「ウチだけが消費税減税を掲げると浮くからね」と明かした。野党共闘への配慮である。
田中が「立憲が野党第一党だからですか?」と水を向けると、共産党本部関係者は「立憲は3党合意があるから減税を言えないんだよ」と背景解説した。
3党合意は2012年5月、当時政権の座にあった民主と自民、公明の間で結ばれた。消費税率を2014年4月に8%へ、2015年10月に10%へと引き上げる法案だ。合意の提唱者は時の首相である野田佳彦。
2015年10月、合意の第一弾が実施され、消費税率は5%から8%に上がった。富裕層以外の国民はさらに生活が苦しくなった。
田中は22日の記者会見で志位委員長に、「増税中止とマイルドになっているのは野党共闘への配慮からか?」と質問をぶつけたが、委員長は明確な返答を避けた。
志位委員長は党が掲げる参院選向けの経済政策が「消費税減税3%と同じ効果がある」と説明した。
立憲の枝野代表は野田内閣の経産大臣、菅内閣では官房長官を務めた。福山幹事長は菅内閣の官房副長官だった。
菅、野田とも消費税増税をブチあげ、野田に至っては前述の3党合意で国民を地獄に叩き込んだ。
菅と野田に引き立てられた立憲の枝野と福山が、彼らの増税路線を否定できるわけがない。
立憲民主党のなかでは稀有な存在である庶民派の議員が「5%」を提案したが、ほとんど支持を得られなかったという。
立憲関係者は「言えても『凍結』まで」と苦り切った表情で語る。
立憲が「増税教」から改宗しない限り、国民の苦しい生活は続く。
~終わり~
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