都議会と都庁職員にとって最も厄介な人物が小池百合子知事と面会した。
元日弁連会長の宇都宮健児氏。2011年、2014年と2度にわたって都知事選に立候補。野党統一が錦の御旗のように掲げられた先の都知事選では告示前日に出馬を取り止めた。
事実上3度に渡って都知事を目指した宇都宮氏は、東京都政の問題点を調べ尽くしている。
きょう午後、都庁を訪れた宇都宮氏は「築地(豊洲)移転」「原発事故避難者への住宅支援」など都政が抱える10項目についての要望書を小池知事に直接手渡した。
小池知事は豊洲新市場への移転については「立ち止まって見直す」ことを強調した。宇都宮氏の要望に沿った格好だ。
だが、原発事故避難者への住宅支援については「お帰りになりたい方が相当おられるようですね」「故郷も気になるでしょうし」と福島への帰還を暗に奨励した。
住宅支援を続ける意向はないと見た方がよさそうだ。出自は自民党であることがモロバレとなった返答だった。
面談後のぶら下がり記者会見で宇都宮氏は次のように感想を述べた ―
「しがらみや利権を排除していけるかどうかが、小池都政の抱える問題だ。徹底しようとすれば妨害や反対する人も出てくる」。
「利権に繋がっている人、そういう風習を許して来たのは都議会と同時に都の職員にもあるんじゃないか。改革を阻む勢力と妥協したら改革は頓挫する」。
~閉じられた都庁~
小池知事は選挙戦で「情報公開の徹底」を掲げてきた。宇都宮氏との面談でも「9月1日から情報公開チームを立ち上げる」とした。
だが都庁の実態は情報公開とは逆行している。きょうの面会はフルオープンだった。
取材受付の7階に行こうとすると、1、2階のエレベーターの前には多数のガードマンが配置されていた。ガードマンは「アポはあるか?」と聞いてきた。
宇都宮氏側から届いた案内状に記されていた政策企画総務部総務課に電話をかけると、宮田と名乗る男性職員が出た。
宮田なる職員は「宇都宮さんと一緒に入って来てくれ」と言い放った。石原慎太郎都知事の時代でさえこんなことはなかった。
知事室のある6階でも、知事面談室のある7階でもスッと行けた。
宇都宮氏側に事情を告げると「フリーでも入れるようになっている」という。
目の前を記者クラブメディアのカメラクルーが次々とエレベーターで上がって行く。少し焦った。
再びエレベーターで7階に行こうとすると、別のガードマンが「(宇都宮氏と小池知事の面談は)3時からなのでまだ早い」。
時刻はすでに2時30分近くになっていた。撮影場所も確保しなければならない。もう遅すぎるくらいだ。
田中は「ふざけたこと言うな、間に合わないよ」とガードマンを一喝し、強行突破した。
メディア・フルオープンでこのざまだ。役人は、記者クラブ以外入れたくない。コントロールできないからだ。
情報公開を阻む都庁の姿勢が見えた一悶着だった。
~終わり~