脱原発勢力同士が争った前回(2013年)の都知事選。分裂選挙の悲劇は繰り返されずに済んだ。
舛添前知事の辞任を受けた東京都知事選挙がきょう告示された。
野党統一候補(民進、共産、社民、生活推薦)となった、ジャーナリストの鳥越俊太郎氏。新宿駅南東口での第一声は鳥越氏本人ではなくSEALDsの奥田愛基さんが口火を切った。
奥田さんは参院選32の1人区で統一候補を立てた野党共闘の立役者だ。
奥田さんの第一声は都知事選の野党協力を象徴していた。
「文句言ってるだけじゃ変わらないんですよ。だれかのための東京じゃなくて、みんなのための東京にしましょうよ。自分たちの選挙にしましょう。自分たちの政治にしましょう」。
奥田さんは政党、有権者それぞれが積極的に働きかけるよう訴えた。
鳥越候補が続いた ―
「汗水たらして働いた税金が果たしてちゃんと使われているか。出した方も受け取った方も納税者意識が希薄。典型的な例が舛添さんだった。みんなに都政を取り戻す」。
「私のスローガンは住んでよし、働いてよし、環境よし。全国でも住みやすい希望の街である。
宇都宮さんのチラシのキャッチコピー “困ったを希望に変える東京”、そういう東京でありたい。これは名文句。まさにそれなんです」。
「私の最大の長所は聞く耳を持っていること。初めて都民に耳を傾ける知事が出てくると思って下さい」。
陸橋の歩道と新宿駅デッキにまで聴衆が溢れた。鈴なりの人々は炎天下、鳥越氏の演説に耳を傾け拍手を送った。
会場の有権者に話を聞いた。
国分寺市の保育士(非正規・女性)は弾んだ声で答えた。
「鳥越さんはずっと一貫して原発、戦争法に反対していたから、信じて絶対当選して頂きたい。参院選の結果を考えて、何かしなくちゃと思って出てくれた。野党共闘ができた。そこは希望。それだけでいい候補者だと思う」。
府中市から足を運んだ男性(85歳)は嬉しそうな顔で次のように語った。
「前回は宇都宮さん支持。あの分断だけは絶対いけない。宇都宮さんを副知事に、ブレーンに古賀さんを。みんなで支えなきゃ。ここまで待っていて良かった」。
男性が手にしていた手製プラカードには、多くの人々の思いが込められていた ―「恐怖の締め付けをする安倍暴走政権をぎゃふんと云わせるような大差で、鳥越さんを東京都知事にしようじゃないか!」
告示2日前に立候補を決めただけあって政策らしきものは聞かれなかった。当然だ。それをとやかく言うつもりはない。
これぞ税金の無駄遣いであるオリンピックをどうするのか? オール与党で都政のガンとも言われる議会にどう対応するのか? そんなところも、これから聞きたい。
~終わり~