鹿児島は任期満了に伴う県知事選挙と参院選挙が同日投票となる。田中は地元の関心がより高い県知事選挙を取材するために薩摩の地を踏んだ。
23日に告示される県知事選をめぐり展開されている光景は、2014年の東京都知事選と酷似する。
「現知事の独裁打倒」「川内原発の再稼働反対」を共に掲げる2人の候補予定者が、互いに譲らず、分裂選挙に突入する可能性がある。現在、水面下でギリギリの調整が進められている。
一人は平良行雄(たいら・ゆきお 県労連事務局長 / 革新系無所属)。もう一人は三反園訓(みたぞの・さとし 元テレビ朝日コメンテーター / 保守系無所属)だ。
共に県内の反原発グループが支援する。共通の目標を掲げていながら革新系無所属と保守系無所属が譲らないところも2014年の東京都知事選と同じ構図である。
前回(2012年)の知事選挙で反原発運動のリーダーが出馬したが、伊藤祐一郎知事の半分しか票を獲れなかった。反原発グループが今回、三反園に乗った大きな理由である。
テレビ朝日の政治記者として活躍した三反園は知名度が高く保守層からの支持もある。
両陣営は歩み寄りに向けた努力がないわけではない。「(候補統一に向けた)政策協議の場を作ろう」と平良陣営が先月、脱原発について3項目の政策を提案したが、三反園陣営と折り合いがつかなかった。
こうした事態について平良側は「三反園の脱原発は信用できない」と言い、三反園側は「向こうの言い分を丸丸のんだら、こちらの保守票が減る」と言う。
これまた2014年の都知事選挙と酷似する。宇都宮(健児)陣営は「イラク戦争に小泉首相(※)は手を貸した。貧困を作り出したのは小泉・竹中だ」と声高に叫んだ。(※小泉純一郎元首相は細川護熙候補と2人3脚で街宣した)
「共倒れになる前に折り合いをつけてはどうか?」と質問すると、細川は「こちらは保守票狙いだから」と答えた。
三反園支持の保守票と共産党の票を単純に足せば2千票差で伊藤知事に勝てる…地元議員は読む。分裂選挙になれば勝ち目は薄れ、暴君で名高い現知事の4選を許す。
宇都宮と細川が争ったことで漁夫の利を得たのが舛添要一だった。
近く行われる東京都知事選で野党同士が戦うことになれば、舛添なんて可愛く思えるほど怖い独裁者が西からやってくる。(敬称略)
~終わり~
◇
読者の皆様。全国各地に足を運ぶための交通費が足りません。田中龍作に選挙取材を続けさせて下さい…https://tanakaryusaku.jp/donation