「地元の議員に相談したら『待機児童はゼロになりませんよ』とシレッと言われた」。こう話すのは東京都中央区に住む母親(30代)だ。
彼女は育休を切り上げて、ゼロ歳児の子供をどうにか認可保育園に入れた。1歳になると保育園に入ることが難しくなるからだ。
17日、民主党と維新の党が母親、保育士、内閣府、厚労省からヒアリングした。冒頭の発言はヒアリングで飛び出した。
自治体が認可保育園への入園承認、不承認を決めるのはポイント制だ。長時間働いていたり、シングルマザーだったりするとポイントが上がる。
日本きっての人口急増地帯である江東区を選挙区にする柿沢未途議員は、「ポイントを上げるために人為的にいろいろやっている」と指摘する。
柿沢議員によると、地元区議は相談に訪れた母親に「離婚して下さい。偽装でいいから離婚して」と“アドバイス”したそうだ。
ポイント制は誰のためにあるのか。矛盾だらけの制度には首をかしげたくなる。典型例をあげよう。
パートなどに従事する非正規労働者は、フルタイムではないのでポイントが低い。このため認可保育園に申し込むことさえ あきらめている 母親がいるという。
低所得の母親が月に20万円もする無認可保育所に子どもを預けることができるだろうか。かといって認可保育園には入れない。仕事をやめれば暮してゆけなくなる。ドツボだ。
保育士(都内認証保育園の施設長)は状況の厳しさを次のように語った。
「お母さんたちからすごく連絡(問い合わせ)が来る。再来年の4月から入りたい。2年後の4月、空いていますか?」。
女性たちは子作りする時から、我が子が保育園に入園できるかどうかを悩まなければならないのだ。「明るい家族計画」も何もあったものではない。
厚労省雇用均等・児童家庭局の朝川知昭・保育課長も「ポイント制が保活を生んでいる」と認めた。
朝川保育課長は「根っこにあるのは(保育園の)量が足りていないということなので、まず量を増やす」とした。
待機児童問題は夏の参院選に向けた政局となった。にもかかわらず、保育士確保のための給与のアップはわずか2%に過ぎない。月4千円増えても焼け石に水である。
最後に山尾しおり議員が言った。「小学校に待機児童はいませんからね」。
義務教育で枠がないから入学できないという話は聞かない。教室が足りなければ作るだけだ。小学校の先生の給与が低いから、なり手がないなどと聞いたことがあるだろうか。保育士も同じようにすればよい。
家族構成や勤務の実態に関わらず、働きたい母親が無条件で子供を預けられるようにしない限り、もはや待機児童問題は解決しない。国が保育の義務を負う、義務化しかないのではないのだろうか。
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