【パリ発】第一報 右翼と極右で地方議会を掌握 政権党の社会党が全滅の選挙区も

国民戦線が記者会見場に選んだのは、社会党の元大統領の名前を冠した体育館だった。白旗を掲げた敵陣営に乗り込んだ格好だ。写真はルペン党首。=13日、フランソワ・ミッテラン・スペース(リール) 撮影:筆者=

国民戦線が記者会見場に選んだのは、社会党の元大統領の名前を冠した体育館だった。白旗を掲げた敵陣営に乗り込んだ格好だ。写真はルペン党首。=13日、フランソワ・ミッテラン・スペース(リール) 撮影:筆者=

 「右傾化」などという生やさしいものではない。右翼と極右で地方議会を押さえてしまったのだ。

 フランスの地域圏議会選挙は13日、決戦投票が行われ、サルコジ前大統領率いる共和党とルペン党首の国民戦線が2党で、議席の大半を獲得した。

 「社会党と共和党の選挙協力で極右・国民戦線の台頭を防いだ」と日本や欧州のマスコミは報道するが、そうではない。社会党の大敗北で右派勢力が地方議会を掌握したのである。「移民問題」などフランスの国是に関わる政策が一気に右にぶれる可能性が高まってきた。

 実際「共和党と国民戦線はどこが違うの?」と見る向きもあるほどだ。

 テロ事件の追い風を受け、第1回目の投票で首位に躍り出た国民戦線が、最重点選挙区に位置付ける「北部パドカレ・ピカルディー選挙区」を取材した。

 同選挙区は炭鉱の町リールを抱える。労働者の町だったため伝統的に政権党の社会党が強い地区だった。

 前回(2010年)の選挙で社会党は33議席を獲得し、議会第一党の座を占めていた。

 ところが、今回は決選投票にあたってリストを取り下げたため不戦敗が確定。全議席を失ってしまった。

 社会党敗北の最大原因が労働者のための政治をしなかったためだ。

 市場原理主義に走り、公共サービスの民営化で福祉を削った。医療費の個人負担が増えた。

 さらには労働法制まで緩和した。非正規労働者を増やし、正規労働者を減らす政策をとった。労働者の党である社会党が社会党でなくなることをやってしまったのだ。

ボタ山が炭鉱の町だったことを物語る。=13日、リール 撮影:筆者=

ボタ山が炭鉱の町だったことを物語る。=13日、リール 撮影:筆者=

 国民戦線はここに目をつけ、マリーヌ・ルペン党首自らが、かつて労働者の町だった北部パドカレ・ピカルディー選挙区に立候補した。

 ルペン氏は選挙期間中「労働者をグローバリゼーションから守る」と訴えてきた。持論の「移民排斥」も忘れなかった。

 投票が終わってみれば、国民戦線は同選挙区で54議席を獲得(得票率42・3%)した。前回(2010年)は18議席(得票率15・93%)だった。今回は大躍進である。

 国民戦線は共和党に次ぎ議会第2党となった。不戦敗の社会党が裏で共和党を支援しなければ、国民戦線は第1党に躍り出たものと見られている。

 町の有権者(50代男性)は政治状況を見抜いていた。

 「右(翼)も左(翼)も公約を果たしてこなかった。右か左か分からない政策をしてきた。(有権者は)批判票として国民戦線に入れたんじゃないか」。

 右も左も公約を果たさない。労働者の党が国民の信頼を失う。まるで東アジアのどこかの国のようだ。政治不信の深刻化は、極右の台頭を招く。

~つづく~
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