「難民、移民を制限するな」。いわゆる左派系の市民1千人が22日、パリの大通りでデモをかけた。
テロ事件を受けた国家非常事態宣言により、デモ集会は来年2月まで禁止されているが、市民たちはご法度を破って政府に抗議したのである ―
バスティーユ広場に集った人々はシュプレヒコールを上げていた。
「すべての国境を開放せよ」
「移民にもフランス人と同じ権利を与えろ」
「空爆して人を殺して我々はそんなことちっとも望んでいないぞ」・・・
フランス革命(1789年)の狼煙(のろし)が上がったバスティーユ牢獄跡で、人々は政府批判を合唱した。
集会が始まって30分ほどすると参加者は、大きな塊(かたまり)となって、デモに出発しようとした。
たちまち国家警察(パリ警視庁ではない)の機動隊が、広場の出口を塞いだ。
だが若者は機動隊の脇をすり抜けて大通りに出た。機動隊は重装備のため若者の足には追いつけない。
機動隊は横断幕を持って歩くデモ参加者に襲いかかった。棍棒で打ちすえ、催涙スプレーを浴びせた。ここでも足の速い若者が機動隊の脇をすり抜けた。
こうして機動隊の隊列は崩された。年配の参加者は露払いの終わった大通りを粛々と歩いた。
デモ隊は2~3キロ先の共和国広場までたどり着いた。だがここから先には行けなかった。
国家警察がオペラ座やビジネス街にまでデモ隊を進ませなかったのだ。機動隊は輸送車を置き、道をほぼ完ぺきに塞いだ。デモ隊は封じ込められた。
地中海に展開する原子力空母シャルルドゴールは、23日から、IS支配地域への攻撃態勢に入る。
高まる緊張は、戦争に反対する市民を弾圧する口実を与える。
南シナ海の緊張に乗じて「こじつけの非常事態」を宣言し、デモ集会を禁止する。それでも異議を唱える市民は、国家の暴力をフルに使って封じ込める ―
安倍官邸はフランス政府の対応を参考にしながら段取りをしているだろう。
~終わり~
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