シャルルドゴール空港からパリ中心部に向かう列車には、ピストルを携えた警備員が配備されていた。
列車はなかなか発車しなかった。隣駅で不審物が発見されたというのだ。
結局、危険物ではないことが判明し、列車は約15分遅れて発車した。ターミナル駅では警備員がアラブ系の利用客を尋問していた。
公共交通機関がテロに敏感になっている様子がうかがえる。
フランス議会は21日、国家非常事態宣言の有効期間をこれまでの12日間から3ヵ月間に延長することを決めた。デモ集会の類はこの間、禁止となる。フランスが世界に誇る「表現の自由」よりも、治安維持が優先されるのだ。
オランド政権は、これを機に通信傍受法の強化などを図る方針だ。憲法改正も狙う。
女神像前に献花に訪れていた女性(40代)は、何を尋ねても「ショックで何と言ってよいのか分からない」と口を押さえた。
地元ジャーナリストによれば「パリ市民の大方は彼女と同様だ」という。いわゆるショック状態である。
自民党の新憲法草案・第9章では、内閣総理大臣は、緊急事態を宣言することができる。「外部からの武力攻撃、内乱等による社会秩序の混乱」があった場合だが、判断するのは首相だ。
日本でテロらしき事件が起きれば、マスコミが煽り、ショックドクトリンをもたらす。
そこで首相が「非常事態」を宣言すれば、デモ集会はフランスのように開催できなくなるのである。当然のように表現の自由も制約される。通信傍受法(盗聴法)の強化も容易だ。
安倍官邸は息を凝らしてオランド政権の対応を見守っている。「学べるものはすべて学ぼう」と。
~終わり~
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読者の皆様。フランスでいま起きていることは、近く日本で起きることです。アベ首相がやたらと「テロ対策」を口走るのは、その伏線です。日本を暗黒の独裁国家にしないためにも、フランスの現状を押さえておく必要がある ― 借金してパリまで来た理由です。ご支援よろしくお願い致します。↓