国家権力という名のテロリストが沖縄で大手を振って歩いている。サンゴを破壊するのが防衛省という名の役所なら、人を殺そうとするのが海上保安庁という名の警察機関だ。
このままでは本当に死者が出る。辺野古の海で抗議行動を続ける市民と海上保安庁がきょう、国会内で交渉を持った。(主催:辺野古への基地建設を許さない実行委員会)
抗議船の船長やカヌー隊のメンバーたちは、5人の海保職員(海上保安官)に「過剰警備を止めるよう」要請した。
交渉は冒頭から緊迫した。海保の一人がいきなり立ち上がり「この中でインターネット中継をしている人がいます。やめて下さい」とヒステリックに叫んだのである。
「なぜだ?」「やましい所があるのか?」・・・主催者側から怒気を含んだ声があがった。(公務執行中の公務員に肖像権はない。以前にも記事にした)
スチール写真も顔を撮ることが禁止されていたので、主催者側は激しく反発した。
特に問題となったのは、4月28日に大浦湾で起きた抗議船転覆事件だ。
事件のもようを抗議船乗船者が撮影しており、映像が音声付きで上映された―
海上保安部の大型ゴムボートが抗議船「ラブ子」の右舷側に横付けするや、海上保安官が「ラブ子」に飛び乗る。
「ラブ子」がバランスを崩すと、海に飛び込んだ海上保安官が左舷側を海底に向けて押した。ゴムボートの保安官は右舷側を真横に押す。あっという間に「ラブ子」は転覆。
映像を見る限り、海上保安部が意図的に転覆させたとしか思えない。
映像を見せつけられた海保側は「横付けしたところ転覆した」(警備救難部警備課の岩永洋専門官)と苦し紛れに答えた。そのうえで「転覆の原因は調査中」とかわした。
きょうの交渉を仲介した福島瑞穂議員は「海上保安庁は暴力的な警備を止めてほしい。海保は海を守る人たちのはずです」と訴えた。
海上保安官の暴力は海だけに留まらなかった。陸上でも集団暴力を はたらいていた ことが明らかになっている。
5月5日、キャンプシュワブ・ゲート前で反対派が座り込んでいたところ、海上保安官の車が通りがかった。
車を降りた海上保安官たちは、5人がかりで反対派1人を押さえつけ羽交い絞めにするなどした。
屈強な男たちが初老の男性を いたぶる さまはリンチの様相を呈した。こちらもしっかり動画撮影されている。
海保の岩永専門官は「交通が妨げられたから道路脇に(反対派を)動かした」などと説明した。
反対派を脇にやっておいて車で通過すればよいだけのことだ。プロレスまがいの技をかける必要があるのだろうか?
福島議員が「いたぶっている、ではないか?」と追及した。「適切に指導する」と海保の岩永氏。
主催者側が「では(暴力を)止めさせるんですね」と畳みかけると岩永氏は「その時々の状況に応じて適切に指導する」とお役所答弁で開きなおった。
反対派と見れば、海上であろうが陸上であろうが弾圧し放題の海上保安庁。死者を出しても「脇に動かしたただけ」「横付けしただけ」とトボけるだろう。
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