公の場で権力を追及できる最後の砦となった日本外国特派員協会(FCCJ)。
FCCJでは「いま日本では報道の自由が脅かされている」として「報道の自由推進賞」を設けた。「世界報道の自由デー」にあたる5月3日に各賞の受賞者を発表した。
受賞者は官邸や日本のマスコミにとって不都合な人物と媒体ばかりだ。その一部を独断と偏見で紹介する。
『調査報道賞』 優れた調査報道を通じて報道の自由に貢献したジャーナリストや媒体に贈られる―
・月刊誌ファクタ
JOC(日本オリンピック委員会)や原発など権力者のサンクチュアリー(聖域)に切り込む。SLAPPで威嚇されても怯まずに連載を続けた。
『報道功労賞』 報道の自由および言論の自由の促進に生涯を通じて貢献したジャーナリストに贈られる―
・ジョン・ミッチェル記者(ジャパンタイムズなどに投稿)
米軍沖縄基地における枯葉剤の存在はじめ基地問題を追及した。
『報道の自由の友』 報道の自由を促進する運動に取り組む法律家、活動家、内部告発者に贈られる―
・古賀茂明氏(元経産官僚)
表現の自由を抑圧しようとする官邸に対する批判と東京電力に絡む政治や産業界に関する鋭い洞察が評価された。
『年間最優秀出版賞』 出版あるいはウェブ上で公開された、優れた調査報道に贈られる―
・東京新聞
原発問題、政治スキャンダル、汚職、報道の自由に関する優れた調査報道を継続的につづけた。
『殉職した英雄賞』 取材中に殉職したジャーナリストに贈られる。該当者がいる場合のみ表彰される―
・後藤健二氏
氏は戦争そのものを報じるのではなく、戦争の悲惨な側面を報じる人道ジャーナリストだった。他のジャーナリストが行きたがらない危険な地域をあえて取材することで、中東や北アフリカで何が起きているのかを世界に伝えた。
受賞した作品や人物は、いずれも国民の知る権利に応えた。彼らの多くは迫害を受けながらも不正を追及し続けた。
本来ならば日本の報道界が表彰すべきである。日本の報道の自由は、もはや外国特派員たちによって支えられていると言ってもよい。
本項で紹介したのは、あくまでも一部です。詳しくは日本外国特派員協会のHPでご覧下さい。
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