クリミア半島を訪問し政府やマスコミから批判を浴びる鳩山由紀夫元首相―
「クリミアに行ったのは日本を真の意味で独立国家にしたいから」。日本外国特派員協会での記者会見(22日)で鳩山氏は、こう切り出した。
「ロシアへの編入の是非を問う住民投票では90%以上が賛成だった」「(マイダンのクーデターは)ネオコンが背後にいた」・・・鳩山氏はクリミアで見聞きしたことを次々と語った。
筆者は昨年、都合2か月間ウクライナを取材してきたが、鳩山氏の指摘通りである。
住民投票は決してロシアから強制されたものでなく、日本の選挙よりはるかに公明正大だった。
米国の関与については拙ジャーナル「米強欲資本が姿を見せた(2014年11月20日付)」「米国のお先棒担ぐ日本マスコミ(2014年3月31日付))」で現地からリポートした。
米国は なりふり構わず ウクライナを手中に収めようとしているのである。
筆者は上記の事実に基づいて鳩山氏に質問した。「ウクライナ問題の真相を告発し続ければ、再びアメリカに葬られることになると思うが、それでも戦うのか?」と。
鳩山氏は答えた。「一度葬られた人間が二度葬られても全く構いません」。顔は赤く上気していた。
対露制裁の理由づけにされたクリミア情勢は、西側メディアの報道とかけ離れている。官邸が鳩山批判の根拠とする「ロシアによる力ずくの併合」は、なかったのだ。
鳩山氏は09年の政権交代選挙で掲げた「(普天間基地を)最低でも県外」を実現できなかったことから、米国と日本のマスコミから袋叩きに遭った。
首相の座に就くもわずか9ヵ月で失脚。一度葬られているのである。
今度は日露関係を正常化させるためにクリミアを訪問したところ、米国の意を汲んだ官邸に厳しく批判された。マスコミはそのお先棒を担いだ。
日本の尊厳にかけて、自主外交を掲げる政治家を二度までも葬らせてはならない。
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