冤罪の温床は増強された ~可視化と司法取引

一部可視化の危険性を説く小池振一郎弁護士。=13日、参院会館 写真:筆者=

一部可視化の危険性を説く小池振一郎弁護士。=13日、参院会館 写真:筆者=

 日本が暗黒の警察国家になろうとしている。刑事訴訟法と盗聴法の改悪法案がセットで近く審議入りする。

 両法案が可決成立すれば、捜査当局のやりたい放題となり、冤罪事件がこれまで以上に多発する。

 刑事訴訟法の改悪は大きく2つ。「取り調べの可視化」と「司法取引」である。

 警察庁と法務省が目論んでいるのは「一部可視化」だ。問題は捜査当局にとって実に都合のよい例外規定が設けられていることだ。

 法制審答申では「被疑者の言動により、記録をしたならば被疑者が十分な供述をすることができないと認める時」とある。

 分かりやすく言うと「可視化すれば供述(自白)がとれない時は可視化しなくていい」ということだ。

 被疑者を長時間に及ぶ過酷な尋問で叩きまくった後、無理強いして「落とした(自白に追い込んだ)ところだけ」を録音録画すればよい。

 そのビデオを裁判に証拠提出すれば、有利な展開に持ち込める。「一部可視化」は捜査当局にとって都合のよい制度となるのは必定である。

袴田さんは無実の罪で50年近く獄中に置かれた。過酷な取調べから供述に追い込まれ、裁判所はそれを採用していた。=写真は袴田さんの実姉・秀子さん=

袴田さんは無実の罪で50年近く獄中に置かれた。過酷な取調べから供述に追い込まれ、裁判所はそれを採用していた。=写真は袴田さんの実姉・秀子さん=

 司法取引も制度化されようとしている。被疑者(被告)に「罪を軽くしてあげるよ」と持ちかけて、関係者を陥れるための供述をさせる。悪魔の捜査手法が合法化されるのだ。

 最近では美濃加茂市長の収賄をデッチ上げるために土建業者にウソの供述をさせた例がある。

 起訴されないことが明文化されれば、被疑者(被告)は、自分の罪を軽くしたい一心で、捜査当局が欲するままの供述をするだろう。冤罪は一気に増える。

 「袴田事件」「足利事件」「東電OL殺人事件」・・・冤罪は枚挙に いとま がない。

 検察調書がねつ造された「郵便不正事件」への反省から出発した刑事司法制度の改革。

 ところが法案として出てきたのは、捜査当局にとって都合のよい制度ばかりだ。焼け太りである。冤罪を生む温床が増強されようとしている。

 《次回は盗聴法改悪編》

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