「人員を削減するな」「すべての非正規を正規社員に」・・・日本郵便の労働者(正規、非正規)で組織する郵政産業ユニオンの組合員は、きょう、全国24の郵便局で波状ストを打った。
ストと並行しながら霞が関の日本郵政本社前で集会を開いた。約200人の組合員が参加した。
ユニオンによれば、非正規社員の収入は正規の3分の1ほど。64%が年収200万円を割る。
千葉県浦安郵便局で15年間、非正規として働いてきた男性(37歳)は「この仕事に就いた時点で人生をあきらめた」と話す。
「管理職のさじ加減ひとつで時給はいじられる」「結婚願望自体ない」…男性は怒気を含ませながら一気にまくしたてた。
府中郵便局に勤める男性(40代)は正社員だ。「人が少なくなって仕事は増える。給料は変わらないのに物価は高くなっている。安倍政権になってますます悪くなった」。男性は険しい表情で語った。
~安倍政権を先取り「成果主義」~
安倍政権の意向を忖度したのか。日本郵便の経営側は4月から新しい人事評価制度を導入する。「成果給」の強化だ。安倍政権は「成果主義」と呼ぶ。
これまで「仕事の成果」はボーナス支給の際に査定されていたのが、4月からは毎月の給料に反映されるようになる。
安倍政権が進める「残業代ゼロ(=働いた時間ではなく成果主義)」のある種、先取りである。
日本郵政グループは従業員41万6千人を抱える巨大企業だ。うち半分近い19万3千人が非正規社員である(2014年3月末現在)。
この秋にも株式が上場されるが、従業員の非正規化と人員削減がさらに進むのではないかと危惧されている。
人員削減と従業員の非正規化は、企業が内部留保を高めるための常套手段だ。すべては株価のためである。
日本郵政グループのうち30兆円の資産を持つ「ゆうちょ銀行」「かんぽ生命」の株式は、米国の投資銀行が口を開けて待つ。