3日後に公示される総選挙の台風の目になりそうなのが「次世代の党」だ。
石原慎太郎氏、平沼赳夫氏らコテコテの右派論客を中心に22人の衆院議員(解散後は前職)と4人の参院議員を擁する。今回の衆院選挙には44人の公認候補(29日時点)を立てて臨む。
同党の候補予定者のなかでひと際注目を浴びているのが、田母神閣下こと田母神俊雄・元航空幕僚長だ。田母神氏は昨日(28日)、衆院選への立候補を正式に表明した。
公明党大幹部である太田昭宏・国土交通相の地盤である東京12区から立つ。
田母神氏は民間の論文で、政府見解を否定する歴史認識を示したため航空幕僚長を解任された。
氏はこの“事件”で一気に右派論客の筆頭に躍り出たのである。先の都知事選挙では、61万票余りを獲得した実績を持つ。
きょう渋谷ハチ公前で行われた街頭演説で、田母神閣下は得意の「自主防衛論」をぶった――
「戦えないから中国に完全になめられるんです。戦える国にするということは自衛隊をきちんとした軍隊と位置づけ、国際法で堂々と集団的自衛権を行使できる体制を作ることです・・・」
閣下は返す刀で公明党を斬ることも忘れなかった――
「公明党は安倍総理が言う憲法改正に反対です。国防軍構想にも反対です。公明党は日本が自立することに反対なんです。それでは国を守ることができない。
次世代の党が自民党の右側にしっかりとした柱を立ててもっとしっかりやれという体制にならなくてはダメです。
自公分断。自民党と次世代の党が保守・保守の連立を組む格好になって初めて日本を取り戻すことができるんです・・・」
降りしきる雨にもかかわらず、聴衆は耳を傾けた。「アベシンゾー、田母神閣下を見習え」と合いの手が飛ぶ。話が国防論の真髄に及ぶと大きな拍手も起きた。
群馬から出張中の会社員(50代・男性)は、「国防軍を持つのは当たり前のこと。日本が異常なだけ」と話す。
都内在住の主婦(50代)も同様の意見だ。「今、丸腰で国を守れる時代じゃないでしょ。日本を日本人の手で守れればそれでいいと思う」。
独自の地盤を持つ22人の衆院議員(解散後は前職)の多くが返り咲き、田母神氏ら知名度のある新人が比例復活で議席を獲得すれば、公明党の議席(解散前=31議席)に迫ることになる。
与党に しがみつきたい 公明党は安倍政権の言うがままになりかねない。集団的自衛権の行使容認がその例だ。
次世代の党が安倍政権を右から支えれば、軍国主義化が一気に進む恐れがある。国防軍創設も現実味を帯びる。