5日午後10時30分。参議院の面会所には、100人近い人達が集まり、本会議の様子を伝えるTVを固唾を飲んで見守っていた。傍聴を求め職員に詰め寄る人も。
受付職員によれば、傍聴席は270席あるが、今夜の本会議で入れたのは30名。「あとは議員紹介があると思うので…」と口をつぐんだ。
ロビーには昼間開かれた国家安全保障特別委員会を傍聴した学生達もいた。都内の女子学生は、「昨日は55人傍聴できたそうだ。今日は傍聴券を250枚も配ったので入れない人達が行列を作った。傍聴者が押し寄せないように衛士が机でバリケードを作っていた」と語る。
千葉県の男子学生は強行採決をその場で目撃した。「いったい何がおきたのか分からなかった。後で聞いたら採決されてしまった、ということだった。歴史的瞬間を見たと思う」。男子学生は乱暴な議事運営に驚きを隠せないようだった。
本会議を中継するTVの前に白い帽子をかぶった女性が座っていた。仕事が終わって夕方7時頃駆け付け、抗議活動にも参加してきたという。職場には明日の休みを申請して来たそうだ。
女性は「今日は見届ける。知人から“反対したってだめよ”と言われたけれど、1パーセントに賭けたい。あきらめられないから来た。流れが変わればいいのだけれど」と、日付が変わっても行方を見守ると話した。
参議院本会議は「延会」を告げていったん終了。参議院本会議での採決は6日に持ち越されることになった。
「強行採決絶対反対」…対岸の参議院会館前では、数百人が残り抗議の声を上げていた。ドラムの音が冬の夜空に響く。
「帰らないで下さい。私達が解散したら開会、というような戦いを仕掛けています」。拡声器の若者が呼びかけた。