「99%の声を聞け」 貧困撲滅訴え世界同時アクション ~下~

貧困は今や世界共通のテーマだ。パレスチナの旗(右)を掲げる参加者もいた。(15日、新宿西口。写真:筆者撮影)

貧困は今や世界共通のテーマだ。パレスチナの旗(右)を掲げる参加者もいた。(15日、新宿西口。写真:筆者撮影)

 新宿柏木公園。「国境を越えて連帯するぞ」「増税反対」…シュプレヒコールを先導しているのは、フリーターの園良太さん(30才)だ。園さんは08年秋の「麻生邸見学ツアー」デモに参加し、逮捕された経験を持つ。

 08年は日本の非正規労働者にとって、忘れることのできない年だった。この年の秋、庶民から暴利をむさぼるために自らが仕掛けた住宅バブルが弾けて、米投資銀行リーマン・ブラザーズが倒産した。世界的な金融危機へと発展し、日経平均株価も大暴落する。いわゆる「リーマン・ショック」である。

 日本企業は、派遣労働者や非正規社員を解雇し急場を凌いだ。このため数万人規模の失業者が出た。ほとんどが工場労働者だ。職と共に住宅も失うため、彼らは路上に弾き出されることになった。年末の「派遣村」につながる。

 広大な日比谷公園は、夜露を凌ぐテントと空腹を満たす食事を求める非正規労働者で溢れた。

 住居も仕事も失い食うや食わずとなった大勢の非正規労働者を尻目に、毎晩帝国ホテルで豪華料理に舌鼓を打っていたのが、時の首相である麻生太郎氏だった。「麻生邸見学ツアー」は、格差の頂点に君臨する人物の“お屋敷”を一目見ようというものだった。
 
 日本の「派遣村」「麻生邸見学ツアー」は、ニューヨークの「ウォール街占拠」「銀行包囲」に先駆けていたことになる。「あの頃(08年秋)から続いているのよね…」、東京アクションの主催者の一人である雨宮処凛さんは、眼差しを遠くに置きながら振り返る。園さんは「あの頃より(事態は)悪化している」と唇をかみしめた。

富がごく一部分に偏る社会が豊かになれるはずがない。参加者のアピールは至極当然なものだった。(新宿西口。写真:筆者撮影)

富がごく一部分に偏る社会が豊かになれるはずがない。参加者のアピールは至極当然なものだった。(新宿西口。写真:筆者撮影)

 「TPP」「増税」「社会保障」……。新宿会場の集会・デモは、アピールのテーマがあらゆる分野に及んでいたが、いずれも格差につながるものだ。

 『99%が行動すれば世界は変えられる』。福島出身の女性(現在は都内在住・30代)は、手製のプラカードを持って参加した。「99%の庶民が1%の富裕層を支えるのも、バカ高い電力料金を利用者が負担するのも根っこは一つ」。女性は静かな怒りを込めて語った。

 「日本人は我慢強く大人しい」と言われる。マスコミを使った政府の世論操作で真相を隠し抑え込んできた面が大きい。だが、ネットの普及などでウソが明るみに出るようになった。原発事故で人々のうっ憤は溜っている。もし生活に直結する大問題がもう一つ起きたら、怒りに火がつく可能性は高い。その時は六本木ヒルズか国会前占拠となるのだろうか。

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