脱原発2候補の共倒れに助けられて当選した舛添要一・新知事がきょう、初登庁した。
午前9時20分頃、有権者の2割の支持しか得ていない新知事は、東京消防庁のブラスバンドが奏でるマーチに乗って庁舎の玄関に着く。幹部職員や手の空いた職員が大勢で新知事を出迎えた。
舛添氏は執務室に入り知事の椅子の座り心地を確かめた。記者団から座り心地を聞かれると「普通ですね」と舛添氏。さりげなく答えて見せたが嬉しさをかみ殺しているのが手にとるように分かった。
続いて議会への挨拶に向かった。真っ先に訪れたのは都議会で最大の勢力を誇り、舛添氏当選の原動力となった自民党だ。議員団が全員で新知事を迎えた。
東京都議会の会派(政党)別構成は次のようになっている。
1、自民党59人
2、公明党23人
3、共産党17人
4、民主党15人
(定数 127)
自民党東京都連の吉原修幹事長は先月6日、舛添氏が選挙への協力を求めに訪れた時のことに触れた。「(舛添氏は)生まれ変わったつもりでやるので協力お願い致します、と言った…」。「自民党は終わった」と捨てゼリフを吐いて出て行った舛添氏に釘を刺したのである。
吉原幹事長はさらに「知事とは政策が一致しているのでいい連携ができる」と述べ、2本目の釘を刺した。勝手なことはするなよ、という意味だ。自前の選挙ができない舛添氏の致命的な弱点をしっかり押さえているのだ。
新知事は幹部職員約500人を集め次のように訓示した。「東京を福祉で世界一にする。世界一災害に強い都市にする…皆さんは世界一の仕事をするのだと思って励んで下さい」。
午後からは記者会見も持たれた。
「7月にも柏崎刈羽原発を再稼働させることを東電は事業計画に組み込んでいる。東電の大株主である東京都はこれにどのような判断をするのか?」筆者がこう質問すると舛添新知事は「原発は国政の問題…」とかわした。
そうだろうか? 再稼働反対の株主提案もできる(否決されるにしても)。運転差し止めの訴訟だって起こせる。
女性蔑視の発言について東京新聞の記者から質問された新知事は「記憶にない」とした。「政党助成金を借金返済に充てた」との疑惑が週刊誌などで報じられているが、これについても「法律に基づいて処理している。全く問題ない」と答えた。
登庁初日にして舛添新知事が巨大与党の自民党にしっかり絡め取られているさまが見て取れた。操り人形となることは避けられないだろう。
東京オリンピックを口実に公共工事に予算をつぎ込み、自慢の福祉を充実させることは難しいのではないだろうか。自民党に嫌われれば猪瀬前知事のような末路をたどる。