「菅さんか、小沢さんか」で悩む中間派はじめ民主党議員が両氏本人から政策を聞く討論会(主催:「政策論議による代表選を実現する会」)が10日(金曜)、開かれた。
議員の多くが地元に帰る金曜夕方であるにもかかわらず会場の衆議院別館講堂には議員210人、秘書230人が詰め掛けた。14日投票の代表選挙が最後まで予断を許さぬデッドヒートになっていることを裏付けている。時間は1時間半に及んだが、席を立つ議員や秘書はほとんどいなかった。
選挙は熾烈になるほど誹謗中傷やスキャンダル飛び交うネガティブキャンペーン合戦となる。これに輪をかけるのが両候補に対する記者クラブ質問だ。国家のリーダーを選ぶのにふさわしい質問とは言えない内容となっている。自らの権益に不都合な政治家を「政治とカネ」などゴシップ中心に責め立てるのである。
「政策論議による代表選を実現する会」事務局長の桜井充議員がいみじくも冒頭挨拶で語った。「マスコミ(記者クラブ)の皆さんには申し訳ないが、これまで政策論議が行われてきたとは思えない」。このため今回は記者からの質問は一切受け付けなかった。
中間派議員からの質問は討論会のコーディネーターを務めた山口義行・立教大学教授に託された。唯一人の聞き手である山口教授は、両候補の政策だけを堀り下げて聞いた。焦点となっている財源問題を例に挙げると――
財源はどうやって捻出するのかを両候補に聞く→両候補が答える→小沢氏が答えた一括交付金をどう評価するかを菅氏に聞く→菅氏は霞ヶ関の受け売りで「地方の社会福祉が削られる」と答える→小沢氏が「削られるのは無駄な公共工事、福祉は削られない」と反論する…
菅氏の答えを聞いていると、記者クラブメディアの報道が霞ヶ関と歩調を合わせていることが分かる。
菅氏のお粗末さを見せつけられたのが経済政策だった。円高の原因ともなっている投機をどう抑制するかを聞かれた菅氏の答えは「マーケットがどう反応するかを検討しなければならない」。こんなことは大学一年生でも言える。
討論会の感想をある衆院議員に聞いた――
「小沢さんの一括交付金は法改正が必要。ねじれ国会では実現性が低い。概算要求の一律10%削減で小沢さんから批判されたけど、菅さんは反論の仕方が弱い」。
「そりゃ政策に弱いから反論も弱くなりますよ」と筆者が言うと、議員は「そうね」と呆れたような顔で笑った。
討論会そのものについては「これまではテレビを通じて政策を聞いていたが、テレビ局のバイアスもなく生で二人の政策を聞けて良かった。コーディネーターの質問も深堀りしてたし…」。
政策本位で誰に投票するかを決めるためには候補者の政策をじっくりと聞く必要がある。今回のような討論会が今後随時開かれることを願う。記者クラブのバイアスなき討論会は実り多きものであった。
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