新聞・テレビが「菅支持」「小沢叩き」に邁進すれば、ネット世論は菅首相の無為無策に悲鳴をあげ、小沢政権を待望する。「新聞・テレビVSネット」。民主党代表選挙はメディア戦争の様相さえ見せている。
代表選は国会議員票ではやや小沢氏が上回るものの党員、サポーター票では菅氏が優勢に立つとの見方が有力だ。また、どちらに投票するか決めていない中間派議員が50人前後いて、彼らの動きが勝敗を左右する情勢となっている。
党員、サポーターは世論に左右されやすい。中間派の国会議員のうち自分の選挙基盤が弱い議員も世論に敏感になっている。
世論を作り出しているのはマスコミだ。揺れる中間派議員の取り込みをはかりたい小沢陣営は8日、議員会館で記者懇談会を開いた。政策への理解を求めるためだ。政策班の議員20人と小沢氏本人が出席する熱の入れようだった。会場には200人近い報道陣が詰めかけ小沢陣営の狙いは当たったかに見えた。
だが、質問で指名されるのは新聞社かテレビ局の記者だ。記者クラブ以外で指名されたのは日本インターネット新聞社の田中龍作と、フリーランスの上杉隆氏だけだった。
小沢氏本人が幾ら言葉を尽くして説明しても、テレビは、自らに都合のよい部分だけをつなぎ合わせ、新聞は「小沢氏の政策は財源の裏づけがない」と書く。筆者は小沢氏にこうした新聞・テレビの傾向を説明したうえで次のように問うた――
「新聞・テレビは恣意的に編集するのだから、インターネットの録画サイト(YouTube)やインターネット生中継を使って自らの政策をフルに訴えることは考えていないのか」。
小沢氏は「インターネットは十分に活用したい」と答えるに留まった。
内実を明かすと「小沢選対」にはネットに精通した幹部議員がいないのだそうだ。さりとてネットに詳しい若手が統率を離れて勝手にネット戦術を展開すわけにもいかない。「YouTube」や「Ustream」は費用もかからず、わずか2人でもできるのに、取り入れていないのには驚いた。
全米では無名だったオバマを大統領に押し上げたTwitterも利用していないようである。揺れる中間派議員に菅首相の無能に憤る国民や有識者の声をTwitterで送り込めば効果は抜群であるにもかかわらず、だ。
小沢氏は幹事長時代、インターネット選挙の導入にあまり熱心ではなかったと言われている。ネットを重視しなかたツケが今、回ってきているのだろうか。
この夜のテレビ朝日の報道ステーションは、記者懇談会で小沢氏が説明した一連の政策の中で「国債増発の可能性に言及した」部分を局所的につまんでいた。あくまで可能性に触れただけなのに「小沢政権が誕生すれば国債増発ラッシュだぞ」とも受け取られかねない編集だった。マーケットに悪い反応が出れば、小沢氏への批判材料となる。テレビ局の目論み通りと見るのは穿ち過ぎだろうか。
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