8日、自民党政権に代わって初めて外相記者会見に出席した。筆者が確認した限り、記者クラブ外メディアは筆者を含めてフリーランスが3名だった。
政権交代直後の2009年9月、外務省記者会見室で見た光景が遠い昔のように思い起こされた。岡田克也外相がフリーランスやクラブ外メディアにも記者会見の門戸を開いたのである。筆者や畠山理仁氏など10数人が出席した。
政府の記者会見がオープン(フリーランスにも質問権があるという意味で)になったのは外務省が初めてだった。これを皮切りに記者会見のオープン化は燎原の火のごとく霞が関に広がって行った。今では警察庁など一部を除きほとんどの省庁で記者会見は、クラブ員以外のジャーナリストでも出席できる。
お粗末な民主党政権だったが、記者会見の開放に代表される情報公開は数少ない業績のひとつだ。「公共財産である政府の情報を記者クラブだけが独占するのは、国民の知る権利に反する」-錦の御旗を掲げたフリーランスたちが勝ち取った権利でもあった。
だが、回を追うごとに記者会見に出席するフリーランスの人数は減っていった。理由は記者会見で発する大臣のコメントを書いていたのではカネにならないからである。
大臣のコメントは新聞・テレビがフォローする。同じ内容をフリーランスが書いても誰もありがたがらない。フリーランスはマスコミの社員記者のように月給を貰っているわけではない。資金を絶たれたらお陀仏だ。
限られたスタッフで運営しているインディペンデント・メディアも同様の理由を抱える。経産省のように「問題あり」の役所でも、毎回毎回スタッフを出せるマンパワーはない。
役所は記者会見の出席者をきっちり把握している。たまに顔を出すと、報道課の役人が「お久しぶりですねえ」とイヤミたっぷりに言ってくる。
2~3人でもフリーランスが出席している間はまだいい。ゼロ人になり、それが長い期間に及ぶようになると、「オープン化の見直し」論が出てくる。内閣府のように結論が出るまで、クラブ外ジャーナリストの出席は制限されるようになる。(おそらく制限されたままとなるだろう)
フリーランスたちよ、毎回は無理でもせめて2~3か月に一度は出席しておこう。大事件が起きてから地団太踏んでもあとの祭りだ。