「維新の背後に竹中平蔵あり」。マスコミが仄聞として伝えていたが、党のトップである石原慎太郎代表がそれを明らかにした。石原氏は、竹中氏がマニフェストを書いていると認め、「大阪の連中(橋下徹大阪市長ら)が竹中を神様のようにあがめ立てている」と話したのである。30日、都内で開かれた記者会見で筆者の質問に答えた。
田中と石原代表のやりとりは次の通り――
田中:日本維新は選挙公約として「解雇規制の緩和」「最低賃金制度の廃止」をあげている。今や労働者の3割以上が非正規で、非正規労働者の半分以上が年収200万円以下。もし維新の政策が実施されれば、彼らはパンも住宅も失うことになりはしないか?
石原:「大阪の連中(橋下大阪市長、松井府知事ら)が一所懸命考えたが、非常に未熟な所があってね…(後略)」
石原:「(賃金低下に)歯止めが効かなくなるの?」「そりゃマズイわね。未熟な所がたくさんある。(選挙公約は)骨太の何項目かにして、あとは皆で討論しようということにしていたのだが…」
田中:(橋下氏らは)世間知らずにもほどがある。
石原:「そうなんだ。(橋下が)10ページもの公約集を発表するなんて言った時、『やめろ』って言ったの。『君(橋下)が(政権公約を)作ったことは多とするけど、(中略)理念に走り過ぎる所があって、実現不可能だぞ』って。(田中の)仰る通りだと思います」。
田中:竹中(平蔵)さんが書いてるからですよ。
石原:「そう(頷きながら)。俺、竹中って好きじゃないんだ。(会場爆笑)
あれ(竹中)が、こういうの(選挙公約を)全部書いてあるのが分かる。これ(竹中は)ね、口説の徒でしかない」。
田中:日本をズタズタにした小泉改革と同じじゃないですか。
石原:「だからね、あんまり竹中を信じるなって。『そりゃ止めろ』って言ったの。彼らにとって神様みたいになってる。コンサルタントの堺屋太一なんか首かしげてる。発言力を認められないのかなあ。これ(竹中)に対しては批判的ですよ」。
田中:石原さんの晩節を汚すことになりますよ。
石原:「そんなことさせないよ」。
日本維新には「最低賃金制度の廃止」「解雇規制の緩和」の他にも「混合診療の解禁」がある。
勤労者をさらに貧しくさせる。あるいは仕事にさえありつけないようにする→国保財政は破綻する→病院にかかるには民間の医療保険に入るしかない→米国資本の保険会社が儲かる。
上記の構図は日本維新がTPPに積極的なことと符合する。竹中平蔵氏は途中で挫折した郵政民営化のスケールを拡大し実現するつもりだ。郵貯・簡保マネーは約300兆円だったが、医療保険が民営化されれば個人資産1400兆円の大半が米国資本の保険会社に流れ込む。日本人の資産はハゲタカの餌食となるのである。
「日本を米国に売ることになる」として小泉政権の郵政民営化に反対し職を辞した元総務省官僚は、「維新のバックは、小泉・竹中のバックと同じだからね」と話した。