記者も政治家も気骨があった

第61~63代内閣総理大臣・佐藤栄作=首相官邸HPより=

佐藤栄作という総理がいた。安倍晋三の大叔父であり、沖縄返還をカネで買ってノーベル平和賞をかっさらった“大政治家”だ。

当時としては歴代最長(7年8ヵ月)の在任期間を誇った栄作総理だったが、政権運営に行き詰まり、退陣することになった。1972年(昭和47年)6月のことだ。

総理は退陣の記者会見で席に着くなり平然と言い放った。

「テレビカメラはどこかね?」「どこにNHKがいるって言ってくれないかなあ」

「新聞記者の諸君と話をしないことになっている」

「僕は直接国民に話がしたい」「僕は偏向的な新聞が大嫌いなんだ」「(新聞記者は)帰って下さい」

栄作総理は上記のように畳み掛けると、自ら席を立って、記者会見室から出て行った。

栄作総理が竹下登官房長官(後に総理)の説得で戻ってくると、内閣記者会の幹事社が噛みついた。

「総理の新聞批判は我々内閣記者会としては絶対許せない」「新聞はけしからん。テレビを優先しろというのは、我々(内閣記者会)として許すことはできない」

新聞記者たちは大変な剣幕だったが、栄作総理は気合負けしていなかった。最後は「(記者は)出て行って下さい」と机を叩いたのである。

記者たちは口を尖らせながら引き揚げた。官邸の記者会見室は、テレビ局のカメラと技術スタッフだけとなった。

官邸会見室。記者が全員いなくなった光景を想像できるだろうか。=撮影:取材班=

昭和の頃は、記者も政治家もやる時はバチバチやり合っていたのだ。慣れ合いも度を越していたが。日本が豊かだった時代だ。普通に働けば食べて行けた。

あれから50年。記者は犬となり、政治家は停波で脅しあげる。イビツだ。

国力が低下し日本は貧しくなった。政治家の質が世襲で劣化し、記者クラブは権力をチェックしないのだから、当然の結末といえる。

~終わり~

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