戦禍のガザを記録した安カメラ

一家は住み家をイスラエル軍に破壊され悲嘆にくれていた。=2014年、ガザ 撮影:田中龍作=

天皇陛下が訪米してもNYタイムズの一面には載らないが、ニコンのマウントが変わったら一面を飾る。

いささかの誇張はあるにせよ、ひと昔前までニコンの一眼レフカメラは世界を席捲していた。だが最近では王座をソニーに奪われた。

2005年ぐらいだったか。10万円台のデジタル一眼レフが出始めて、私は初めてデジタル一眼レフを入手した。ニコンの一番安い機種だった。性能が悪かった。

2008~09年のガザ戦争には、そのカメラを持参するしかなかった。その後、上級機種に換えたが、初級機種で撮影した当時を超える写真はいまだにない。

爆撃を逃れるためロバで避難する家族。=2014年、ガザ 撮影:田中龍作=

17年前の光景は今でも忘れない。

雨水を沸かして飲んでいた父と子はその後どうなっただろうか。

野菜畑に囲まれるようにしてあった村はもう跡形もないだろう。

イスラエル軍は住民97人を集合住宅一カ所に集め、うち29人を虐殺した。住宅はペシャンコになっていた。虐殺の証拠を隠すために空爆したのである。後に国連の調査が入ったこともあり鮮明に記憶に残っている。

田中は幾度も足を運び、同じ生存者に同じ質問をぶつけた。人間の記憶はあいまいだからだ。田中の取材と国連の調査結果に食い違いはなかった。

写真がいい時は記事も迫力がある。写真の出来栄えは被写体しだいだ。取材者が向き合う現実がそこにある。

ミサイルの破片が子どもの遊び道具になる現実がある。=2014年、ガザ 撮影:田中龍作=

  ~終わり~

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【読者の皆様】
この先、世界は何が起きるのか、予測不能です。私たちが暮らす日本も巻き込まれます。

戦争開始は独裁者の胸三寸で始まるからです。まずイデオロギーから入るインテリの見立てと現実は違います。

現実を把握し伝えるには紛争地に飛び込む必要があります。「虎穴に入らずんば虎児を得ず」です。マスコミは危ない所には行きません。

紛争地取材は莫大な取材費を必要とします。ドライバーもガイドも命懸けだからです。もちろん現地までの飛行機代もバカ高い。

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