
ウクライナ政府当局の地雷除去作業。=2022年11月、同国南部ヘルソン 撮影:田中龍作=
米軍とアフガン北部同盟がタリバンを首都カブールから追い出した直後の2002年―
地雷原と化していたカブール郊外のブドウ畑を田中は歩いた。目的地に行くのに通らざるを得なかったからだ。
北部同盟の主軸だったマスード派の元兵士が先導してくれた。「Mr.田中、俺の足跡以外は踏むなよ」と言って。
田中は彼の足跡を凝視しながら地雷原を歩いた。足跡が神のように思えた。足跡をわずかでも外れれば、地雷が爆発するだけだ。
死ぬ覚悟を決めていたので「怖い」などという感情は湧かなかった。
勇猛で鳴るマスード派の元兵士はさすがに百戦錬磨だった。田中は地雷を踏むことなく目的地に着いた。

すでに除去作業員25人以上が死亡していた。あくまでも探知後である。ロシア軍はここを探知前に無防備で歩かせるのである。=2022年11月、ヘルソン 撮影:田中龍作=
最前線は敵から銃撃されやすいこともあり平均寿命は72時間という。銃弾で死ぬか、地雷で死ぬかの選択だ。
激戦地であるほど地雷密度が濃くなる。ウクライナ東部は世界で最も地雷まみれの地域といえよう。
地雷は戦争が終わった後も農民や子供を殺傷する。兵器はすべて非人道的だが、地雷は飛び抜けて非人道的だ。
騙して連れてきた東南アジアの若者を、銃で脅して地雷原に投入する。ロシア軍は非人道の二乗である。
日本がもっと貧しくなり青年が出稼ぎに行くようになったら、騙されて「人間地雷探知機」にされない、という保証はない。
自らも地雷原を歩いた田中の杞憂であることを願っている。が、日本は政治も社会も底の抜けた状態だ。何があっても不思議ではない。

対戦車地雷。爆発した時は地震と錯覚するほど地面が揺れる。=2022年11月、ヘルソン 撮影:田中龍作=
~終わり~
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