
イスラエル軍に射殺されたハマス戦闘員。埋葬地へ。=2023年、ジェニン 撮影:田中龍作=
ウエストバンク北部のジェニンは、西岸の最激戦地だ。ハマスとファタハがイスラエル憎しで同居する。
両手をあげ降伏の意志を示しているパレスチナ男性2人をイスラエル国境警察が射殺した。ロイターのカメラマンが一部始終を動画撮影しており、27日、戦争犯罪を記録した映像が世界を駆け巡った。
急襲したのは国境警察である。イスラエル軍ではないのだ。これにはいささか驚いた。冒頭述べたようにジェニンは最激戦地である。
軍と比べれば軽装備の警察車両が単騎乗り込めるような場所ではないはずなのだ。
イスラエル軍がジェニンに乗り込む際は、普通、装甲車などを交えて1個小隊約10両で入ってくる。
イスラエル側の動きは西岸に入った時点からパレスチナ側に捕捉されている。
「今、イスラエル軍車両の一団が●●(地名)を通過した」…パレスチナ側の連絡網で田中にも入ってくるくらいだ。
ジープ1台でノコノコやって来ようものなら格好の餌食だ。にもかかわらず、イスラエル国境警察は難なく最激戦地に乗り込んで来たのである。

これがイスラエル国境警察だ。=2023年、東エルサレム 撮影:田中龍作=
ジェニンの難民キャンプは3月にあったイスラエル軍の軍事作戦でズタズタに破壊されている。武装勢力はジェニンでの一大拠点を失った。
守りが手薄になったのを見透かしたイスラエルは、民家を襲い、降伏の意志を示していた男性2人を射殺した。
その昔アメリカ大陸で騎兵隊は火力で劣る原住民の集落を襲い、追い立てて行った。
「西岸にパレスチナ人の住む所はなくなる」。極右で鳴るベングビール国家安全保障相の予言が現実味を帯びる。

イスラエル軍の装甲車両は編隊を組んで難民キャンプを捜索した。=2023年、ジェニン 撮影:田中龍作=
~終わり~
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ガザは偽りの停戦が続いています。逮捕逃れのために、どうしても戦争を続けたいネタニヤフは、停戦協定を破ってレバノン南部への攻撃を再開しました。
パレスチナ西岸でも軍事作戦を始めています。
パレスチナもレバノンも田中のホームです。現場で取材しないことには本当の惨状が伝わりません。
交通費が圧倒的に不足しています。皆様のカンパご支援だけが頼りです。伏してお願い申し上げます。





