
イスラエル軍による爆撃で負傷し、病院に搬送される女性。=ガザ、撮影:田中龍作=
イスラエル軍の爆撃に遭い逃げ惑うパレスチナ住民たちと同じ現場に立ったことがある。住民たちは「キャー」などと悲鳴を上げる余裕もない。頬をひきつらせて一目散に逃げるだけだ。人間の尊厳などという高尚な概念はひとかけらもなかった。
イスラエル軍はガザ住民を食料配給拠点に集めておいて射殺する。人間の屠殺場である。500人を超すアラブ人(パレスチナ人)が虫けらのように殺された。
映画『シンドラーのリスト』を思い出す。ユダヤ人収容所の所長が2階のベランダから、ゲームを楽しむような感覚でユダヤ人を撃ち殺す場面がある。殺すのはユダヤ人でありさえすれば、誰でもいいのだ。
それから80年を経てユダヤ人は自分たちに降り注いだ惨禍を今、パレスチナの民に味わわせているのである。歴史に報復しているかのようだ。
ガザの虐殺を止めるのは、イスラエル軍よりも強大な軍事力でしかない。
国際社会が国連に集まって知恵を出し合っても、どうにもできないのだから。
~終わり~
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世界史上、最大の不条理にして最大の悲劇ともいえるパレスチナ紛争を田中龍作に見届けさせて下さい。
取材には莫大な経費を必要とします。御支援何とぞ御願い申し上げます。