ロシアが攻め込んできても国外脱出できなかった市民は、深さ約100mの地下鉄駅構内に退避した。＝2022年2月25日、キーウ 撮影：田中龍作＝
プーチン大統領が「ドンバスで軍事作戦を行う」と発表して、わずか５～6時間後のことだった。
「ドッカーン」。朝5時30分頃、凄まじい爆発音が、冬時間でまだ明けきらぬキーウの暗闇を引き裂いた。2024年2月24日のことだ。BBCはキエフで爆発、ロイターは空港で銃撃と伝えた。
田中は空港に向けてタクシーを走らせた。治安部隊が空港を封鎖していた。私服刑事は田中に「ルシアン・ミリタリー」と言って両腕でバツ印を作った。
幹線、支線を問わず道路は西に向けて脱出する車で溢れ返っていた。ガソリンスタンドとATMには人々が殺到した。
ロシア軍の銃砲撃にさらされていた地域の住民は命からがら脱出した。＝2022年3月11日、イルピン 撮影：田中龍作＝
あれから丸3年が経つ。停戦協議を控えロシアは駆け込みで攻勢を強める。
すでに東部4州を占領しているロシア軍は、5番目の州としてドニプロペトロフスク州を奪取しそうな勢いだ。NYタイムズ（日付）が伝えた。
どこに停戦ラインを引くか。厄介なことになるだろう。停戦監視そのものも難渋することになる。
英国のスターマー首相が英国軍の派兵に意欲的だ。自衛隊の派遣も取り沙汰されているが、国連PKOが実施されれば、現実化する可能性もある。
世界最強の軍隊を持つ国の大統領がマダラボケで、世界最強の独裁者の操り人形となりそうな雲行きだ。
それが現実となれば、国際秩序は悲劇的なまでに大きく変わる。嫌でも日本は巻き込まれる。
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