「記者会見だって、あなた方記者だと言っている人たちに限定しているわけではない。誰でもいいんだよ。渋谷でブラブラしてシンナー吸ってる若者でも構わねえんだよ」。歯に衣着せぬことで鳴る亀井静香・金融郵政担当大臣の発言だ(2010年2月12日)。
当時、記者クラブの頑なな反対で、フリーランスは記者会見に参加できなかった。記者会見のオープン化を進めていた亀井氏は自らの大臣室でフリーランス対象の記者会見を開き対抗した。それは「第2記者会見」とも呼ばれた。
国民新党のゴタゴタで亀井大臣は短命で終わったため、実現こそしなかったが「街頭記者会見」もプランにあった。
27日にフルオープンで実施されたフジテレビの記者会見が批判を浴びている。批判の矛先はフリーランス記者や型破りではみ出し者の女性新聞記者に向かった。
「まるで演説だ」「ヒステリックに抗議している」…などが主流だ。
しかし冷静に耳を傾けてみると、彼らの言説には頷かせられる。青臭い書生論かもしれないが「メディアのあるべき姿」を説き、「フジテレビは女性の人権よりもコマーシャルが激減したことを重くみているのではないか」と問うたのである。
原発事故直後(2011年)、東京電力本社であった勝俣恒久会長の記者会見を思い出す。勝俣会長は震災発災時(同年3月11日)、記者クラブを接待して中国旅行を楽しんでいたのである。
田中がその事実を勝俣会長に質問すると、記者クラブから「そんな一人よがりの質問をするな」とヤジが飛んだ。
当時、オールドメディア(新聞テレビ)の方が断然力が強く、発信手段をニューメディア(ネット)に頼るフリーランスは、記者会見への参加を制限されていた。多少改善されたとはいえ、この状況は今も変わらない。
記者クラブが庶民の関心に沿った質問をし、権力をチェックしていたら、日本はこんな国にならなかった。
~終わり~
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