読者の皆様。
田中は本日(14日)、パレスチナの地に戻ってきました。
二重の借金を背負ってでもガザ取材に再挑戦したのは、1日数時間の「時限停戦」に一筋の光明を見出したからです。
イスラエル軍がジャーナリストのガザ入域を許可する可能性がわずかにでも出てくれば、それに賭けてみようと思ったのです。
イスラエル軍がジャーナリストのガザ入域を許可するのは、ハマスを掃討し住民虐殺の証拠を隠滅してから、と見る向きもあります。
確かにそうかもしれません。それでもいい。夥しい数のガザ住民が屍となって眠る更地の上に立ち、そこからリポートしなければならない。
2014年戦争で共に死線を潜った地元記者と何としてでも再会したい。
もう一つ大きな気がかりがあります。ヨルダン川西岸です。
昨年末、イスラエルに極右政権が登場するとすぐに田中はパレスチナに飛びました。
西岸で目のあたりにしたのは、毎日、パレスチナ住民の誰かがイスラエル軍に射殺されるという現実でした。少年であったりサッカー選手であったり・・・
今回、イスラエル軍はガザに侵攻すると西岸への攻撃を強化し始めました。西岸自体はガザよりもはるかに広いが、一つひとつの地区は実に小さな街区です。
イスラエル軍はそこに空爆をかけるのです。日本で言えば「何丁目」に過ぎないエリアに。
ガザのみならず西岸のパレスチナ住民も根こそぎ追い出してしまいたい。殺してしまいたい。民族浄化の思惑が透けて見えます。
人類の歴史に刻まれるような大災厄が起きないことを願うのみですが、不幸にして起きてしまった時は、ジャーナリストとして見届け伝えなければなりません。
何とぞご理解とご支援を賜りますよう、伏してお願い申し上げるしだいです。
2023年11月14日
田中龍作