自民党のマウスピースとして定評のある人物が先週、2度まで田中に電話で告げてきた。「山本太郎はなあ、懲罰を受けるんだよ。だって悪いことしてるんだから」と。
「悪いこと」とはマスコミの言う「暴力」である。暴力とは委員長席への捨て身のダイブである。
権力とマスコミが事件をデッチあげた陸山会事件(2009~2012年)を思い出す。
小沢一郎の秘書が世田谷区の土地を購入した際、政治資金収支報告書に分割して申告したことが、政治資金規正法違反に当たるというのだ。「期ズレ」である。
分割申告は秘書であれば常識的な作業である。小沢が起訴された裁判の公判廷でも会計の専門家が「問題ない」と証言している。
検察リークを受けた記者クラブメディアは、連日、犯罪であるかのように書き立てた。
「小沢が逮捕される」との噂がまことしやかに流れたこともあった。
政治資金規正法違反の罪に問われた小沢は無罪が確定したが、3年余りに渡って濡れ衣を着せられ、政治力を削がれた。
この事件で秘書3人が逮捕起訴され、うち1人は有罪となった。
形式犯であれ何であれ、犯罪であるかのように仕立て上げ、有罪に追い込めば、政治生命を奪えるのである。
自民党寄りのフリージャーナリストA氏が21日の不定例記者会見で、4月にあった大田区区議会議員選挙を取り上げた。
れいわの候補がすでに死亡している人の名前を使ってハガキを送ったなどというのである。この候補は前回の選挙では無所属で名簿はその時の物だ。明らかに手続きミスである。
くしぶち共同代表が説明したのだが、それでもA氏は「警察(の捜査)は終わっていない」と食い下がった。
不定例記者会見がネット配信されていることを計算したうえでの印象操作である。
自民党がれいわの冤罪を積極的に作り出そうとしているのか。A氏が手柄をあげたいのか。
れいわが勢力を伸ばせば、自民党は野党第1党との茶番劇がやりづらくなる。
解散総選挙が取りざたされていた頃(14日)実施された自民党の獲得議席予想によると、れいわは6議席(現在より3議席増)。参院の現有勢力を足せば、れいわの国会議員は2ケタになる。
陸山会事件は政権交代直前に仕組まれた。既得権益にしがみ付く勢力は、れいわが目障りになり、冤罪を仕掛けてくることは想像に難くない。
れいわは不測の事態に備えて、政治資金規正法の裏を知り尽くした公認会計士と金庫番を置くこと。次に検事出身の顧問弁護士を置くこと。
正しくてもハメられることを師匠が教えているではないか。陸山会事件の再現を目論む勢力は、着々とネタを押さえている。(文中敬称略)
~終わり~
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