きょう27日のキエフは朝から小雪の舞う日となった。親米派が親露派政権を倒した革命の主戦場となった広場(マイダン)も白く雪化粧した。
市街戦で命を落とした人々の遺影に積もった雪を、一枚一枚手で払ってゆく家族がいた。遺影は109枚ある。
父親(50代)は田中に「ロシアは攻めてくる。プーチンは帝国(ソ連邦)を取り戻したいから」と話した。雪の上にウクライナ周辺地図を描きながら、説明するのだった。
前日、ここマイダンでインタビューした別の男性(30代)は英語を話した。「オフコース・ロシア・インべード・トゥー・ユークレイン=当然、ロシアはウクライナに侵攻してくる」とした上で、理由を次のように語った。
「東部戦線(ドンバス)で戦っているウクライナ兵の友人が、ロシア兵(ワグナー社の傭兵か)を捕縛したら指示書を持っていた。そこには『ウクライナに侵攻する』と書かれていた」。
国営放送のTVドキュメンタリーでプーチン大統領は「冷戦崩壊(NATOの東方拡大)により我々は領土の40%を失った」と話した。ポーカーフェースの中にも悔しさが見てとれた。
ソ連崩壊前、ウクライナにはNATO諸国に向けた核ミサイルが集中していた。2014年、クリミアのミサイル基地を取材した際、基地の副司令官から聞いた話だ。通説を裏付ける証言だった。
冷戦崩壊前はソ連が西側諸国のノド元にナイフを突き付けていた。
だがウクライナにNATOのミサイルが配備されるようなことになれば、立場は逆転する。
ノド元にナイフを突きつける効果を知っているプーチン大統領が、立場の逆転を許すはずがない。
アメリカ国務省はウクライナの危険度をレベル4(Do not Travel)に引き上げた。
~終わり~