難病患者92万5,646人の命が危険にさらされている。視覚障がい者32万人の生活が立ち行かなくなっている。「高齢者に合わせてコロナのワクチン接種をして頂きたい」・・・
日本血友病患者会の佐藤正人会長(52歳)と全盲で声楽家の天野亨さん(56歳)が、国会と厚労省に陳情を掛けた。
難病患者は感染しやすく重症化しやすい。佐藤さん自身、薬害エイズと薬害肝炎の経験者で九死に一生を得た。
全盲の視覚障がい者は、外出もさることながら家事にもガイドヘルパーの協力を欠くことができない。
ガイドヘルパーがコロナ感染を警戒して出控えるようになったため、介助の機会がめっきり減った。その結果、視覚障がい者の外出が難しくなってきたのである。
職場が毎日同じ場所であれば、どうにかこうにか行けるが、場所が変わるとガイドヘルパーなしでは、辿り着くのが困難になる。
難病患者と視覚障がい者はコロナ禍のなか、極めてリスクの高い状態に置かれている。にもかかわらず、ワクチン接種は高齢者の後となっている。田中のように元気なジイさんよりも急ぐ必要があるのだ。
与党をのぞく各党に陳情に回ろうとしたが、共産党と社民党以外は冷淡だった。きょう23日、佐藤さんと天野さんは、志位委員長の国会事務所を訪ねた。
志位委員長はあいにく再選挙の応援のため広島に向かっており不在だった。秘書が対応した。
2人は窮状を訴えた。「連休前に何とかして頂きたい。連休明けはここに出て来られる分からない。待っていたら我々は死ぬ」と。
難病患者と視覚障がい者にとって事態は切羽つまっているのだ。
弱者救済を売りにしている政党の議員にも陳情をかけたが、「アポがない」との理由で門前払いを食らった。電話でアポを取ろうとしたが、梨のツブテだったため、きょうは直接、議員会館に出向いたのである。
血友病患者の佐藤さんは、体をきしませながら、この党のボランティアとして汗を流していた。にもかかわらず冷淡な仕打ちだった。
国会陳情のあと、2人は霞ヶ関まで足を延ばした。厚労大臣に陳情するため電話でアポを取ろうしたが、一向に埒が明かないので、直接出向いたのである。
対応したのは大臣官房の渉外調整係だった。明確な回答もなく要請書を受け取るにとどまった。
連休が明けて緊急事態宣言が解除されれば、過去の例からしてリバウンドが来るのは目に見えている。
「待っていたら我々は死ぬ」。2人の言葉は、いずれ健常者のものとなるだろう。
~終わり~
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