小・中・高・大学の教員がオンライン授業などで教材として使用した著作物を逐一エクセルにして文化庁長官指定の管理団体に提出する・・・どの先生がどんなことを紐解いて生徒や学生に教えているのか。政府は一網打尽に把握できるのだ。
著作権者の金銭的利益を保護することが主目的だが、政権が思想統制のツールに使うことも可能だ。
こうした制度の試験運用を文化庁長官指定の管理団体「一般社団法人・授業目的公衆送信補償金等管理協会(SARTRAS)」が実施していることが、田中龍作ジャーナルの取材で分かった。
~学術会議人事の次は教育内容か~
政権がさらに管理を強化すれば、国立大学の場合、処分の対象となり、私立大学の場合、補助金を減らされるだろう。
文化庁は、「今回は試行調査」としているが、官邸の判断によって定着させることは十分可能だ。
文化庁著作権課によると、今回、全国約100の学校に依頼した。
学術会議の人事に踏み込んだ官邸は、次に教育内容に踏み込むことになるのだろうか。
知人の私立大学講師は「思想統制のようで怖い。気味が悪い」と声を細めた。
ある国立大学教授は「そんなもん、来たら突っぱねる」と語気を強めた。
教員はオンラインで使用した著作物の題名、出版社名、引用箇所(ページ)などをエクセルに打ち込まなければならない。上記の私立大学講師は「大変な作業で労働超過となる」と憤る。
一般社団法人・授業目的公衆送信保証金等管理協会(SARTRAS)は2018年、著作権法改正を受けて学校からの補償金を管理するために設立された。
文化庁によると改正著作権法は2021年5月24日までに施行の予定だったが、コロナの影響で前倒しされた。
理事長は知的財産法を専門とする弁護士の土肥一史氏。一橋大学名誉教授にして、加計一族が運営する吉備国際大学大学院・知的財産学研究科特任教授である。
~終わり~