在日米軍・嘉手納基地は嘉手納町の面積の83%をも占める。元々そこで暮らしていた住民は残る土地に追いやられた。しかも耳をつんざく爆音の中で暮らす。騒音被害は深刻だ。我慢は限度に達しているのに、さらなる負担を加えるような提案が政府の閣僚から出た。岡田克也外相の「普天間と嘉手納の統合しか残された道はない」とする発言だ。
「政権を取るまで言っていたことと話が違うではないか」。憤る嘉手納町の住民たちは7日、町民大会を開いた。会場は基地の整備や建設を担う防衛施設局の真裏にあるグラウンドだ。
オジイ、オバア、ニーニー、ネーネー達が続々と集まりグラウンドを埋め尽くした。手にしたプラカードには「何が統合か!」、背中のゼッケンには「普天間飛行場の嘉手納統合反対」などと記されている。怒りと決意の表れだ。
「(鳩山政権は基地問題を)サッサと片付けたいから嘉手納に統合しようとしている。裏切られた。約束は守ってほしい」(男性・嘉手納生まれ=29歳)。
「これ以上住民負担を増やしてどうする。民主党になっても沖縄の人が苦しめられている。悪い方向に行ってほしくない。(政府には)住民が苦しめられているという目線に立って考えてほしい」(女性・嘉手納在住=30歳)。
「ふざけるな。(普天間と嘉手納の統合は)あり得ない。民主党に期待して投票したのに裏切られた」(女性・嘉手納在住=60代後半)。
基地問題をめぐる民主党の迷走は、嘉手納の人々が口々に言うように「裏切り」と取られても仕方がない――
選挙期間中、来沖した鳩山代表は「少なくとも普天間は県外か国外に移転させる」と明言。有権者の支持を集め、4選挙区とも自公系候補は落選した。
ところが、政権に就くと前言を反古にする発言が、重要閣僚から飛び出したのである。岡田外相が「普天間と嘉手納の統合しか道はない」と言えば、北沢防衛相は「国外・県外も難しいから現行案(辺野古への移設)しかない」との考えを示した。鳩山首相がさらに混乱を増幅させた。「最終的には私が決める」などと曖昧に述べ、回答を留保したのだ。
沖縄の人々は歴代の自民党政権と自公政権に散々振り回されてきた。「普天間の県外・国外移転」を政策(民主党・沖縄ビジョン)に掲げる民主党が政権に就き、基地問題は改善の方向に向かうものと見られていた。だが期待通りではなかった。
嘉手納町老人クラブ連合会会長の稲嶺盛貞さん(77歳)の言葉が事態を象徴している―「(民主党は)裏切りだと声を大にして訴えたい。戦後60年余り経ち、これ以上問題を残したら子や孫に申し訳が立たない」。
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