【青森県六ケ所村・村長選挙】「核のゴミ捨て場にしてはいけない」 人がいない所では手を振る村民も

遠藤医師に手を振った男性は漁師だった。「魚が減っている」と嘆いた。使用済み核燃料を陸揚げするむつ小川原港の護岸工事が影響したものと見られている。=14日、六ケ所村 撮影:筆者=

遠藤医師に手を振った男性は漁師だった。「魚が減っている」と嘆いた。使用済み核燃料を陸揚げするむつ小川原港の護岸工事が影響したものと見られている。=14日、六ケ所村 撮影:筆者=

 青森県六ケ所村の村長選挙があす(19日)、告示される。村には原子力行政の壮大なマヤカシを一身に担う核再処理工場がある。

 2期目を目指す現職に挑むのが遠藤順子医師だ。「無投票選挙にしてはいけない」との強い思いから立候補を決めた。原発で潤う村で「原発反対」の意思を示すのは至難の業だ。候補予定者の遠藤医師に手を振る村人は少ない。

 道路の端に街宣車を止め演説しようとした所、作業服姿の男性が出てきて「ここで(演説)するのは止めてくれ」と怒鳴った。作業服には原発の下請け企業の会社名が刺繍されていた。原発立地自治体ならではの光景だ。

 だが、周りに人がいないと手を振る有権者もいる。手を振る男性(60代)がいたので、「核再処理施設には反対ですか?」と聞い た。男性は「あれ(核再処理施設)は良くない」と答えた。

 理由を尋ねると、男性は「魚が穫れなくなった」と寂しそうに言った。六ケ所村沿岸はイカ、昆布、サケなどの好漁場だ。漁獲量が減ったのは、「むつ小川原港」(六ケ所村村内)の護岸工事の影響と見られている。全国各地の原発から出てくる使用済み核燃料が「むつ小川原港」で陸揚げされるのだ。

 「(除染土を詰め込んだ)フレコンバッグが福島から六ケ所村に運び込まれるかもしれません。六ケ所村を核のゴミ捨て場にしてはいけません」。

 遠藤候補の悲痛な訴えが投票日(24日)の前日まで村中に響く。

むつ小川原港。使用済み核燃料を積んだ船が着岸していた。=六ケ所村 撮影:筆者=

むつ小川原港。使用済み核燃料を積んだ船が着岸していた。=六ケ所村 撮影:筆者=

  〜終わり~

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