東京都杉並区の区長選挙がきょう、告示された。3選を目指す現職に青年弁護士が「ミニ国政」からの脱却を掲げて挑む。
現職の田中良区長は、都議会議員を経て2010年、区長に当選。民主党出身なのだが、自公が中心になって支える。自公だけではない。選挙ともなれば共産党以外のほぼ全党の議員が田中区長を支援する。いわゆるオール与党である。
きょう、JR阿佐ヶ谷駅前であった出陣式には杉並区議会議員21人(定数48)が出席した。自民、公明、社民、立憲民主、元民主などの区議会議員である。
オール与党化すると議会のチェックが効かなくなる。区政が私物化される。典型は公用車の私的使用だ。深夜23時を回っても公用車が動いている日が年間80日にも及んだ。行く先は「新宿各所」とされていた。この問題を情報公開請求で明らかにしたのは共産党だった。
区長は公用車の日報を「破棄した」と言ったが、杉並区の文書管理規定では1年間保存が義務付けられている。共産党議員が情報公開請求したら出て来た。
「破棄した」文書が出てくる。国政そのものではないか。
杉並区(東京8区)は自民党幹事長や国交相、環境相などを歴任した石原伸晃氏の城下町である。野党が統一候補を立てさえすれば、いとも簡単に石原氏の当選を阻むことができる選挙区でもある。なのに、野党共闘できない。いや、しないのか?
きょうの出陣式でトップバッターとして挨拶に立ったのが石原伸晃・元自民党幹事長だった。2番手は高島直樹・自民党都議団幹事長だ。
3月にあった都議会の警察消防委員会で「平成の治安維持法」とも呼ばれる迷惑防止条例の改正(改悪)案が可決された際、抗議した都民に対して「傍聴人がどういうことだっ!」と怒鳴りつけた都議会議員がいた。それが高島直樹氏だ。
出陣式に出発する前、田中良氏の選挙事務所で高島幹事長は2人の交友関係を自慢げに語った。「私と田中さんは党は違うが、長年の友人だ」と。
傍聴人を怒鳴りつける自民党都議団幹事長と、無所属議員に大声をあげる杉並区長。相通じるものがあるのだろうか。
民主党出身の現職区長の選挙応援に自民党の大物が、主役として駆け付ける。国政では野党である政党の区議会議員たちが脇を固める。
立憲民主党の枝野幸男代表は、「地方自治は国政の下請けではない」とツイートした。枝野氏らしい詭弁じみた論法だが、これに納得する国民がどれだけいるだろうか。
地方のオール与党化が、国政選挙での野党敗北を招き、それが今の悲劇的な政治状況となっている。
〜終わり~
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